若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

年をとるということ

婚礼や法事の楽しみのひとつは、お年寄りに会えることだ。

「年をとったいい顔」というのがある。
40年や50年生きていたくらいではとても実現できない顔だ。

どんな婚礼や法事でも、何人かはそういう顔の方がおられる。
昨日もそういうお顔を拝見できた。

どこで読んだか忘れたが、スコッチウイスキーの職人の言葉がある。
「一般に、スコッチの10年物と20年物では、20年物の方がうまいと言われているが、そんなことはない。年月によって付け加わるものもあるし、失われるものもある」

それだけに、年月の重みの感じられる顔に出会うとうれしくなるのだろう。

昨日は、新婦のお祖父様に、「美しい老人」を見た。
82歳、謹厳実直にして温厚篤実、ご自分には厳しく周囲のものには優しいのであろうと思わせる風貌だ。

親族を代表して挨拶された。
原稿用紙にきちんと書いたものを用意されていた。

新婦は自分の長女の子で、自分にとって初孫であり、ことのほか可愛がってきたこと。
結婚の話を聞いた時、まったく良いご縁でありがたいと思ったこと。
二十数年前長女を嫁がせたことが昨日のことのように思い出されること。
その時の自分たちの思いを、今長女夫婦が味わっているであろうこと。
新郎新婦に幸せな家庭を築いてもらいたいこと。

以上のようなことを、一語一語かみしめるように、とつとつと話された。
内容は特に変わったものではない。
「声に出して読みたい日本語」というようなものではない。
また、他の誰が読んだところで、同じような感銘を与えられるものではない。

孫の結婚式で、こんな風に挨拶できる人はそうはいないだろう。
かくありたい、と思える人に出会えるのは幸運だ。