昨日は、消防の表彰式に出た。
「優良事業所」として表彰されたのだ。
表彰されるのは、長年にわたって防火防災、消防行政に尽力してきた消防職員や地域団体、企業などだ。
舞台には、市長代理や消防局長、市会議員たちが並んでいる。
まず市長代理が市長の式辞を読み上げた。
どこの誰とも紹介されない市長代理が席を立つとき、胸に着けた大きな白いバラが外れて床を転げた。
「優良防火管理者」として表彰された人のうち、Gパンにカーデガンの男性がいた。
非常にたくさんの人が表彰状を受け取った。
表彰状を受け取るたびに、会場の奥に控えた二十人ほどの消防音楽隊が、「勇者は還りぬ」を演奏した。
何十回も演奏した。
高校野球や相撲の優勝者が表彰される時に流れる音楽だ。
「勇者は還りぬ」
消防の表彰式にはそぐわないように思った。
火災で出動して、消火して帰ってきた消防車を迎える時にふさわしいように思う。
この演奏の時、「鉄琴」がメロディを奏でているのに気づいた。
たくさんの管楽器の中で、鉄琴の小さな音が非常によく聞こえる。
なんか、おかしいと言うか、けなげと言うか、不思議な感じであった。
高い音はよく聞こえるのか、と思っていたら、今日の日本経済新聞に
「IP電話、高音質化」と言う見出しがあった。
電話の声を高くするというのだ。
電話から聞こえる声を、1オクターブ高くするらしい。
「帰ってきた酔っ払い」や「鹿せんべいツイスト」みたいな声が聞こえると言うことだ。
二つの理由があるようだ。
一つは、鉄琴の例で分かるように高い音の方が聞き取りやすい。
高齢化に伴って、耳の遠い人が増えることから検討されていた。
もう一つは「オレオレ詐欺」対策の決め手としての高音化だ。
「オレオレ」と言うのが息子の声みたいに聞こえて詐欺にあうのだ。
1オクターブ高い声で「オレオレ」と言われても
「誰じゃ!アホか!」と思うだけだろう。
ただし、私は警告しておく。
高音化によって「オレオレ詐欺」は防げても、新たに「ワタシワタシ詐欺」が登場するであろう。
幼稚園の孫を装った詐欺だ。
「ワタシワタシ!幼稚園から帰って隣のミヨちゃんと遊んでたの。ミヨちゃんの人形の手が取れちゃって、ミヨちゃん、私に50万円払えって言うの。やくざに脅されてるの。ミヨちゃんの銀行口座に50万円振り込んでくれない?」