若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

脱落

また一人脱落者が出た。

私は、十数年毎朝同じ時間のバスに乗り電車に乗る。
いっしょに乗っていた人が、いつの間にかいなくなる。
転勤、結婚、進学、いろんな理由があるのだろう。

今回気づいたのは、電車がいっしょだったマスクの男性だ。
私と同じ年頃のサラリーマン風男性で、年中大きなマスクをしている。
健康ではない、という感じがする。

次の駅で降りて、その駅発の各駅停車に乗り換えるのだから、立っているのがつらいのだろう。
その人の姿が見えない。
となると、入院か、亡くなったのか。

ほとんど毎朝いっしょだったAさんとBさんの姿が見えないのにはだいぶ前に気づいた。
私と同じ年配の、失礼ながら気楽そうな、同僚と思える二人組だ。
野球、ゴルフなどのスポーツ関連の話と、飲み会の話がほとんどだった。

この二人に、たまにCさんが加わる。
一見「えらい人」とわかる。
胸に「えらい人」という名札をつけているわけではないのに、わかる。
不思議である。

AさんとBさんが、この人を煙たがっているのは明らかであった。
それでも、Aさんは、がんばって笑顔を作り、「きのう、ジャイアンツ、逃げ切りましたな」などとお愛想を言うこともあった。

Bさんは露骨に避ける。
Cさんを見つけると逃げていくのだから、よほどのことがあったのだろう。

この三人が突然消えた。
もう半年か一年になる。
脱落には慣れているものの、三人一度というのは初めての経験なので、ショックであった。

三人そろって定年ということはないだろう。
会社の移転または倒産か。
リストラで、部署ごと別の会社に売られたのか。

と、今朝、Cさんを見つけた!
やっぱり・・・。
生き残ったのはあなたでしたか。

しかし、Cさんは、なんとなくやつれているように見えた。
以前のような、「なめるなよ!」という気合が感じられない。
去るか残るか、生きるか死ぬかの修羅場をくぐりぬけてきたようだ。

こう脱落者が続出すると、ますます私の存在が貴重になるではないか。
表彰状ものだ。

表彰してくれるのは誰か。
奈良交通近畿日本鉄道
乗りまくったわけではないからな。

厚生労働省
文部科学省
国土交通省

毎朝同じ時間のバスと電車に乗って十数年という人を表彰するのはどこですか。