朝、歩いたりジョギングしたりしている人がいる。
バス停に行く道や、バスを待つ間にも見かけるが、なかなか続かないものだ。
家の近くの美容院の姉妹の朝の散歩はよく続いている。
80歳くらいだろうか。
十数年前、一度だけその美容院に母を連れて行ったことがある。
当時の母は、その場その場の会話くらいはできたが、方向感覚がなくなっていて、一人で外出はできなかった。
美容院の客は、皆さん母と似たようなお年であった。
姉妹仲良く働いておられるように見えた。
健康のために二人で歩こう！ということになったのだろう。
毎朝、私が家を出る少し前に、通り過ぎて行かれる。
私が追いかけるかたちになるが、さっと追い越せはしないから、お二人のお年からすれば、かなりの早足で歩いておられると思う。
小柄なお二人が、話をしながらせっせと歩いておられる姿を見ると、ほのぼのとも、しみじみとも言える気持ちになる。
ほほえましいような、さびしいような情景だ。
今朝も、お二人のあとを歩く。
向こうから、犬を二匹連れた中年の女性が来た。
足の短い、かわいらしい犬だが、かなりの勢いでロープを引っ張っている。
二匹並んで、ぐんぐん近づいてくる。
姉妹は犬の方を見てニコニコ笑いかけた。
「おーおー！いっしょに並んで歩いて。えらいえらい。あはは、がんばってがんばって！」
犬たちは、姉妹の方を見て、さかんにしっぽを振った。
「えらいえらい。がんばってがんばって！」と言ったのだと思う。
このエールの交換を見て、うれしくなってしまった。
