昨日は友達と飲んだ。
KさんとSさんとM君とWさんだ。
KさんとSさんは、私と高校が同じ女性。
M君とは大学を出てから知り合った。
WさんはM君の知り合いで、きのう初めて会った男性だ。
Kさんというのは久保さんで、Sさんは佐々木さん、M君は村田君で、Wさんというのは田村さんだ。
「田村さん」がなぜ「Wさん」になるのか不審に思う人もあるだろう。
その原理を説明しよう。
私は村田君に田村さんを紹介されたとき、「田村」というのは「村田」を上下逆さまにひっくり返した名前だなと直感的に気づいた。
村田君と田村さんの長年にわたる妖しい関係を暗示する倒錯的な名前だ。
二人はこの事実を隠そうとしているようだった。
何とか気づかせないよう、ごまかしつづけるつもりのようだった。
田村さんは私に、「村田」をひっくり返したら「田村」です、と告白しようとしなかった。
しかし、私は恐るべき洞察力を駆使してこの事実を突き止めたのだ。
で、私はこの文章を書くときハタと困ってしまった。
「田村さん」を「Tさん」とすると、この倒錯的な「村田/田村」関係を反映できないではないか。
どうする?
私は悩んだ。
悩み抜いた挙句にひらめいた。
「M」を上下ひっくり返すと「W」になる!
村田君を「M君」、田村さんを「Wさん」とすれば、この倒錯的「村田/田村」関係を、頭文字の世界においてもはっきりと示すことができる。
それで、私は田村さんを「Wさん」と呼ぶことにしたのだ。
こうして、私は大きな問題を一つ解決することができた。
単純なようだが、この原理を理解するには、複雑な思考力を必要とする。
「漢字文化圏」の発想と、「英語文化圏」の発想とを兼ね備えていなければならない。
グローバル化の波が押し寄せる現在、こうした発想がますます必要とされることだろう。