カリフォルニア州立大学教授、ベティ・エドワーズ著。
写実的に絵を描くための本だ。
「左脳」「右脳」という話をよく聞く。
大ざっぱに言うと、「左脳」が「論理脳」で、「右脳」が「感情脳」らしい。
著者によれば、空間を処理するのは右脳である。
だから、見たままを描きたいと思ったら、右脳を使うといい。
ところが、一般人は、生活するのに左脳を使うことが多いので、絵を描く時でも左脳を使ってしまう。
だから写実的な絵が描けない。
「絵のうまい人」というのは、絵を描く時に、左脳から右脳へ自然に切り替えている人のことだそうだ。
例えば人物を描く時、左脳を使うと、今見ている人物を描くのではなく、自分の頭にある、「まゆげ」という概念に従って描く。
目はこんな物、鼻はこういうものだ、という概念がある。
それに支配されてしまって、見たままを描けない。
では右脳を使うにはどうすればいいのか。
著者は、左脳を混乱させて、使用不能にすればよいと言う。
例題として著者はゴッホの「人物」(鉛筆デッサン)を使う。
私もやってみた。
まず、ゴッホの作品をそのまま描く。
次に、ゴッホの作品を逆さまにして描く。
私の場合、はっきり「逆さま」の方がゴッホに近い絵になった。
逆さまにすると、ゴッホの人物画を見ても、「手」とか「足」として認識するより、「線」として認識するので右脳が処理するようになると言うのだ。
「右脳、左脳とあまり騒がない方がよろしい」という学者もいるが、私は、これは非常に優れた「実用書」であると思った。
「画期的訓練法!あなたも写実派になれる!」と自信を持っておすすめしたい。