若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「プロジェクトX」を見る:PART2

「さあ、石川さん、この金庫を前にして、どうなさいましたか」
「ま、相手はコンピュータですから、なんとか狂わせにゃいかんと思いました。ふと思いついたのが静電気です。静電気で狂わせようと。
で、上着の袖で金庫をこすりました。2時間くらいこすったとき、プスンという音がしたんです」
「プスン?」
「コンピュータが狂ったなと」
「なるほど。開きましたか」
「開きました」

「さて、今日はもうお一方お客様をお招きしております。この金庫の設計者、金尾守さんです。金尾さん、自信を持って世に出したこの金庫が破られたと聞いた時、どんなお気持ちでした」
「イヤー、ショックでしたね。まさかと思いました。
で、警察に問い合わせたんです。そしたら、どうも開けたのは石川さんだと。
やっぱり!と思いましてね。設計段階から、これを開けるとしたら石川さんだろうと思っていましたので、石川さんに開けられたんなら本望だと。敵ながら天晴れという思いでした」
「なるほど!もののふの心を知るもまたもののふ、ということでございますか。いやー、いいお話をうかがいました。
金尾さんにとって石川さんはどういう存在なんでしょうか」

「まー、第三者からご覧になれば、敵ということになるんでしょうが、私にとっては、非常に大切な方といいますか、師、という感じですね。
金庫というのは、破られてはじめて進歩するものですから、石川さんに破られるたびに、ま、石川さんからカツを入れられるといいますか、そんなところで甘んじておったらいかんぞ、と説教されているような気持ちになったもんです」

「そういうものなんですねー。いやー、わかります!
さて、今日はもうお一方お客様をお招きしております。警視庁捜査26課で、どろぼう専従刑事でいらっしゃいました、塚 前太さんです。塚さんは、石川さんを現行犯逮捕して、石川さんが足を洗うきっかけとなった方です。
塚さんは、5年前に退職されて悠々自適の毎日とうかがっておりますが」
「いやー、因果なもので、近所のスーパーへ行っては、万引きを捕まえるのが日課のようになっております。あくまで趣味としてですがね」
「なるほど。塚さんは石川さんのライバルというか好敵手と言われていたわけですが」
「いやいや!ライバルだなんてとんでもない!後を追っかけていただけです」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにねッ!」