若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

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企業戦士達への弔辞のような番組だ。
弔辞の中では誰もが立派だ。
で、見ると感激する。

先週も感動的だった。

「今日のお客様は、石川五左衛門さんです。石川さんは泥棒一筋50年。代々の泥棒一家という恵まれた環境で、幼い頃からその才能を注目されておりました。
お父様は、戦前、財閥や華族の家を専門にされていたわけですが、やはり貧しい者からは盗まないという哲学がおありになったわけですか」
「いや、貧乏人はとるもんないですから」
「なるほど。そんな石川さん親子にとって、敗戦が大きな転機となったわけですね。財閥解体華族制度の廃止という民主化の嵐が襲いました」
「オヤジなんか茫然自失でしたよ。もうだめだと。でも私は若かったですから、どんな時代にも金持ちはいるんだから、それを狙えばいいと。新しい時代が来るんだと、逆に希望に燃えました」
「いやー!若いということはすばらしいですね」

「さて、戦後復興と歩調を合わせるように、石川さんの業績も順調に伸びていくわけですが、その石川さんに試練の時が訪れます。
赤外線センサーの登場ですね。一般の家庭にも赤外線センサーによる防犯システムが普及し始めました。そのニュースをお聞きになった時、どうでしたか」

「これは大変なものが出来たなと。とにかく赤外線のことはまるで知らなかったですから。できるだけのことはやろうと、自分で赤外線センサーを買っていろいろ試しました。風でとばせないか、磁石で曲がらんか。どうしてもうまくいかなくて、最後に行き着いたのが紫外線でした。祈るような気持ちで紫外線を当てたら、赤外線が消えたんです!」(まねをしないで下さい)
「初めてのお宅、覚えていますか」
「田園調布の金田富蔵さんでした。ここで目に見えない赤外線に紫外線を当てたら、目に見えない赤外線が消えたんです」
「どんなお気持ちでした」
「やった!という感じですね」

「さあ、首尾よく室内に侵入した石川さんは、金めの物を物色したんですが、その石川さんの前に、コンピュータ制御の超合金大金庫が立ちはだかったんですね。ご覧になったとき、どうでしたか」
「足が震えました。まさか普通の家にそんな金庫があるとは思いもよりませんでしたから」
「実は、今日、スタジオにその金庫をご用意しております。石川さん、どうぞ」
「いやー、これだ!これです!なつかしいなー」