池谷裕二著。
副題が「中高生と語る『大脳生理学』の最前線」
朝日新聞の書評で絶賛してあったので買った。
本を手にとって表紙を見て驚いた。
丸いシールがペッタンと貼ってある。
「養老孟司氏推薦!」
以下、私が読んだ朝日の大絶賛他、毎日、読売も大絶賛と書いたシールがペッタンと貼ってある。
本にこんなモノ貼ってええんか。
帯に書くならまだよろしー。
捨てられます。
表紙にこんなモン貼ってどーするんじゃ!
手に取った瞬間、モーレツに反感を感じた。
むかつきながら「はじめに」を読む事になったのは、池谷さんにとって気の毒である。
「脳の研究をさらに究めようと意を決してアメリカに渡ったのは2002年12月。私を迎えてくれたニューヨークの街はクリスマスイルミネーションで美しく飾り立てていました」
「飾り立てられていました」じゃないのか。
「1年余り前に起こった同時多発テロの衝撃もようやく和らぎ、道行く人々に活気が戻り始めた、そんな時期でした」
この人は、同時多発テロ以来1年余り、ニューヨークの道端にしゃがみ込んで、活気をなくした人々に活気が戻る様子をじーっと観察していたらしい。
大脳生理学の最前線にいる割に、文章はホコリの積もったかびくさい紋切り型だ。
講義に入る。
「・・・僕が思っても見なかったような方向に話が進んで行ったら、それこそエクサイティングでいいな!というわけ。・・・そういう意味で、普通の授業じゃないって思ってほしいな」
私が高校生のとき、こんな風に話しかけられたら、「やかましワ、おっさん!なにをじゃらじゃらしゃべっとるんじゃ!」と思ったに違いない。
池谷さんは35歳、高校生から見たらカンペキなおっさんだ。
そして、残念なことに、イラストが私好みではない。
私は、「科学系」の本のイラストは、「科学系イラスト」が好きなのだ。
「植物標本細密画」みたいなのです。
この本のイラストは、テキトーに描いてある、という感じのもので、特に悪くはないが、私の感覚からすると「科学的でない」。
おまけに!
池谷さんの奥さんが描いているようだ。
よくない!
これほどありとあらゆる反感、偏見、悪意ある先入観を持って読み始める本も珍しいですね。