若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「浅野匠之頭辞世の句の真実」論

先日、家内が参加している朗読のグループが、お年よりの集まりで朗読をした。

生活協同組合が後援する、「ミニ・デイサービス」の会がある。生協関係の奥さん達が、十人ほどのお年寄りに昼食を用意して食べてもらう。
その席で、朗読を披露したのである。

世話役の女性達が車で送り迎えするので、かなり遠方から来ている人もいる。
非常にしっかりした老人ばかりで、ボランティアの奥さん達が、「こんな風に年をとりたい」と言うのだから、家内たちも緊張したはずだ。

話を選ぶのに悩んだようだが、昔話を四つと、私が以前ここに書いた「浅野匠之頭辞世の句の真実」を演じた。「浅野匠之頭」は、家内が前に他で演じて結構受けたので、再演である。
幸い今回も、笑いは取れたようである。

昼食前に朗読をして、その後家内たちも一緒に昼食を食べた。
その時、90歳の男性から、意見が出された。

年より相手には、もう少しゆっくり読んでもらいたいと言われたそうだ。
非常にしっかりした方達と聞いていたので、それほど年より扱いしなくてもいいだろうと思っていたのだが、なるほど、80を過ぎた方ばかりなのだから、ある程度の配慮は必要だったようだ。

次にその方は、昔話と「浅野匠之頭」は、かなり異質であるが、今日のプログラムはどういう選び方なのかと質問された。
家内が、「浅野匠之頭」は、ウチの主人が書いたものですと言うと、それはよろしいが、自分の抱いている「浅野匠之頭」のイメージと違う、と言われたそうだ。

家内が、これはまあ小話みたいなものですから、と言うと、小話にしてもなんとなく違和感を感じるのは、作品として完成度が低いのではないか、と言われた。

すばらしい!
もちろん、「あはは、おもしろかったです」でも結構なのであるが、90歳にしてこの感受性と知性は立派だ。
この方が、この会の会報に書いておられる文章も、過不足ない達意の文章であった。

しっかりしたお年よりの姿はうれしい。

家内が、向かいの席の女性が90歳と聞こえたので、「大正4年ですか」と聞いたら、笑って、「いえ、大正なら可愛いんですけど、明治43年です」と答えられたそうだ。

「大正なら可愛い」!
いいですなー。

さあ、これから母のいる施設に行ってきます。
しっかりしていないお年よりの姿もいいものだ。
と、日記には書いておこう。