若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

『山と渓谷』

新聞で見かけた、山登りの好きな人のための「山と渓谷社」の月刊誌の広告。

今月号の特集は、「スロー登山のすすめ」

「あせらず、ゆったりと、人と語らい、食を楽しみ、いたずらに登頂数を競ったりせず」山を楽しみましょうという特集だ。

なるほど、今風である、と感心はするが、「スロー登山」という言葉が気になる。
すり足で、息も絶え絶えに登っている感じだ。
ほかに言い方ないんでしょうか。

さて、今月の第二特集は?
「快速登山の現在形」

人はどれほど速く山を駆け抜けられるのか、「日本を代表する健脚者達」へのインタビューを交えた、「山を見ると走り出したくなるあなたのための」特集だ。

どっちやねん!?
「スロー」なんか「快速」なんか、はっきりせーよ!

ニーズの多様化か、顧客満足かしらんけど、せめて「スロー特集」のほとぼりが冷めてから「快速特集」をすべきではないか、こんなことをしていては笑いものになるぞと、山と渓谷社に警告したいのは山々であるが、駄洒落を言いたいだけだろうと邪推されるといけないのでやめておこう。

「スロー」と「快速」、山登りにもいろんな楽しみ方があるのだろう。
山と渓谷社もニーズの多様化に合わせていろいろ大変だ、と思うと大間違いで、「山登り」は工業製品ではないから、元々多様だったはずだ。
と思います。
山登りについて、全然知らないのでわかったようなことは言えない。

私は、山登りには無縁の男だ。
若草山以外の山に登ったことがない。

仕事の関係で知っている女性のご主人は、若いとき本格的登山家だったそうだ。
話を聞くと、悲劇の登山家だ。

松下電器に務めていたが、エベレスト登山隊に誘われた。
登山家にとってエベレストが特別の山だということはわかる。

彼は何ヶ月かの休暇を申請したが、会社は許可しなかった。
会社を辞めてエベレストに行くことにそれほど迷わなかったそうだ。

彼が悲劇に襲われたのは、エベレスト登頂を果たして下山する海抜7500メートル付近のことではなく、出発前のことであるが、ロッククライミングの訓練中に墜落したのではなく、痔になってしまったのであった。

松下は辞めるは痔になるはエベレストには行けないはという、悲劇の登山家の物語を聞いて笑う人がいるのは残念である。