お盆の旅行で泊まったホテルで、「ドールズハウス展」というのをしていた。
ドールズハウス?
なんじゃそれは。
名前から想像するに、かわいいが高価なお人形が座っている、アンチークというかロマンチックというかメルヘンチックというか、とにかくいろいろチックな、リッチというかゴージャスというかセレブというか、とにかくあらゆるカタカナで飾り立てられたところの、リカちゃんやバービーやシルバニアファミリーたちに向かって、「おさがり!ふん!けがらわしー!」と冷たく言い放つような、20年前なら娘達が感動のあまりボーゼンとするようなシロモノであろう。
どうせひまだし、行ってみるか、と娘達を誘ったが20年前じゃないので案の定行かないというので家内と行く。
会場で驚いた。
とにかくでかい!
高さ2メートル近い家もある。
そして、いろいろチックではない。
カタカナ無用。
う〜む、とうなるほかないものであった。
説明を読む。
すべて十二分の一に作ってある。
ヨーロッパが十二進法の世界だからそういうことになる。
何百年か前にヨーロッパの貴族が、自分の自慢の屋敷のミニチュアを作らせたのが始まりだ。
いまは「あなたにも簡単にできます的セット」も売っているが、王道は自作だ。
アメリカの、モッツ家の人たちはふつうの市民であるが、すべてを「ドールズハウス製作」につぎ込んだ。
彼らが作った「雑貨屋」は見事である。
19世紀ごろのアメリカの雑貨屋が、実に精巧に再現されている。
「雑貨」がすごい。
無数!
まあ、「ホームセンター」のすべてをミニチュアで忠実に再現してあると思えばよろしい。
なんだかわけがわからんままに感激した。
ウチの娘達も一時は激しかった。
シルバニアファミリーの運動会と称して、紙粘土、糸、紙切れなどを駆使して、はちまき、ゴール、弁当、ジュースなどを作って遊んでいた。
親ばかの私を感動させるに十分な量と質であった。
感動した親ばかである私が、二人が遊んでいるところを撮影しようとして、「こっち向いて」と言ったら、「んもう!今遊んでるんやから!あっち行ってて!」と叱られて、すごすごと引き下がったのも懐かしい思い出である。
モッツ家では、両親を先頭に一家全員協力して遊んで暮らしたのである。
恐ろしいようなうらやましいような人たちである。