昨日は、オールディーズバンド「THE VINTAGE GOODS」の練習であった。
12月11日に今年三回目のライブがある。
年に三回のライブというと立派なものであるが、バンドは立派なものではない。
特にリーダーがいるわけでもなく、なんとなく、いつの間にか、どこからともなく得体の知れないものたちが集まったという感じで、まあエチゼンクラゲの集団みたいなものである。
エチゼンクラゲは日本海だが、こっちはヤマハ周辺の音楽空間を不気味に漂っている。
周囲の人たちも、エチゼンクラゲの集団を見るような目で見ている。
メンバーは、演奏する曲がはやったとき青春真っ只中が3人、生まれていない人が3人である。
四十年ほど昔青春真っ只中であったところの、ボーカル、ドラム、ギターの私の3人が、がっちりスクラムを組んで若者達を引っ張っていくのが本来の姿ではございますが、遺憾ながら3人が入り乱れくんずほぐれつ若者達の足を引っ張るだけならまだしも、口だけは達者なのと若者達がおとなしいのをよいことに好き勝手言いたい放題であるにもかかわらずバンドが維持されているのはひとえに私の人徳の卵豆腐じゃなかった人徳の賜物ということになるのではなかろうか。
本番を間近に控えた昨日の練習がどうだったかを書くと、見に来てくれる人が減るので内緒にしておきますが、一つだけ書いておくと、いつものようにドラムのIさんがボーカルのYさんに、ちゃんと歌うようにクレームをつけ、これまたいつものようにYさんは、バンドが歌に合わせるよう堂々と言い返した。
Yさんは、「美空ひばりが歌うとき、バックのバンドが美空ひばりに、ああ歌えこう歌えとは言わないはずだ」と言うのである。
突如美空ひばりが出てきたのには驚いたが、言わんとするところはわかる。
もっともである。
それに対してIさんは、「私も美空ひばりにはどうのこうの言わない」と答えた。
もっともである。
この「美空ひばり論争」、どちらにも一理あるようで私は困ってしまった。
いつものように、柔和な微笑を浮かべて二人の顔をかわるがわる見ているほかなかった。
まあ、二人ともミュージシャンのはしくれ、論争の決着はステージでつけてくれるであろう。