クリスマスが近づくとクリスマス商戦が始まるかというとそうでもない。
近づかない前から始まっている。
私が通っているギター教室の前に大きなショッピングセンターがある。
その入り口のギリシャ神殿風巨大円柱に華やかな電飾が施されたのは二ヶ月ほど前だ。
クリスマスにしては早いなと思って見ていたが、今もそのままなので、クリスマス商戦用の飾りなのだろう。
アメリカでクリスマス商戦でもめているらしい。
よくわからないもめかただ。
スーパーなどで、「メリークリスマス!」という看板を出すと、特定の宗教にかたよった商売になるというので、「メリークリスマス!」をやめたところがあるのだが、キリスト教のうるさい人たちが、「メリークリスマス!」と書かないならそのスーパーアをボイコットしようと言っているそうだ。
もー!そんなことどーでもええがな!と言いたい。
しかし、向こうから見たら、女系天皇でも男系天皇でも、どうでもええがな!と言いたいだろう。
中村伸郎さんの随筆に、トシをとるとこんなもんです、というような話がある。
家で一杯飲んでいると、奥さんが、「あら、今日はクリスマスイブでしたね」と言った。
中村さんは思わず、「あ、そうか!ハッピーバースデイ!」と言ってしまった。
あとで、いや、ちがった、メリークリスマスだった、と思ったが、まあ似たようなもんだからいいか、という話。
何年か前、伯母の葬式を出した。
伯母には子供がなく、私が喪主ということで村のお寺にあいさつに行った。
本堂で奥さんが忙しそうにしておられた。
色紙で飾りつけがしてある。
「お忙しそうですね。今日は何か?」
「はあ、檀家の子供さんを集めてクリスマス会なんです」
私は、ボーゼンと本堂の奥の阿弥陀如来を見た。
阿弥陀如来は苦笑いを浮かべ、私にウィンクしながら、「メリークリスマス!」