若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

じけじけ

昨日、帰りのバスで70代と思える女性二人が私の前に座った。
一人がしゃべりまくる。
ペラペラしゃべりまくるならまだいいのだが、とつとつとしゃべりまくる。
とつとつでもいいのだが、何を言いたいのかさっぱりわからない。

聞いていて苦痛である。
聞かなければいいと思うでしょう。
ところが、聞かないでおこうとするのにどうしても耳に入ってくる。
なんたることであろうか。
実に不愉快であった。
私だけ聞かされたと思うと腹が立つのでここに書く。

「じけじけするでしょ。じけじけじけじけ。ふとんがね。じけじけ」
「じめじめ」ということかなと思った。

「今日みたいなじめじめした日でなくてもじけじけするでしょ」
「じめじめ」と「じけじけ」を使い分けている。

「コップ一杯半。ね、じけじけするでしょ。ふつうに寝てても汗をかくのよ。ふとんがじけじけするでしょ。コップ一杯半汗をかくの。ふとんや畳がじけじけするでしょ。ふとんの下に敷くとね、青いのがピンクになるの。ピンクになったらだめ。でも乾かすとまた青くなるの」

どうやら「除湿シート」のようだ。

聞いていた女性が、「なんか違うわねー」と言った。
「前に聞いた話と違うわ。紙なの?」
「紙じゃない。カーペット・・・紙じゃない。じゅうたん・・」
「前にあなたから聞いた話と違うわ」

突然話が変わる。
「タッパウエアみたいなのに入れとくと腐りにくいの。料理しかかって予定が変わることってあるでしょ。切ってからおいとくと腐るでしょ。そんなときこれに入れとくと腐りにくいの」
「タッパウエア?」
「ちがうの。タッパウエアみたいなの」
「あなたそんなものどこで買うの」
「テレビ」

突然話が変わる。
「改築したのよ。本が多くて。二千冊。お父さんが東大だから」
「お父さん東大!?」
「東大。それに今美術館で解説してるから。ほら、アレよ。美術館で。お客さんに解説。ほら・・・ボランティア!美術の本とか歴史の本とか読むの。なんでも研究するの。東大だから」
「あの男のお子さんはどうなさったの」
「あの子は司法書士
「東大?」
「東大じゃなくて・・・司法書士
司法書士ってすごく難しいんでしょ。お孫さんも偉いのね」
「・・孫じゃないわ」
「孫じゃないの!」
「あの子はお父さんの・・妹の・・・」

あの子はだあれと思いつつ私はバスを降りた。