若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ジダン退場

前のワールドカップで初めてサッカーをまともに観戦した。
「反則」に驚いた。あさましいスポーツだと思った。

思えばサッカーの第一印象が悪かった。高校のとき、サッカー強豪校との対戦が我が校で行われたのを見た。試合の後サッカー部の友人と話していて驚いた。

相手は審判に見えないところでこちらのユニフォームをつかんで、走る邪魔をしたりするというのだ。
教科書や少年雑誌の「フェアプレイの精神」「スポーツマンシップ」しか知らなかった私にとっては衝撃的であった。
そのときから、サッカーはえげつないという先入観があるのかもしれない。

今回はまともに観戦しなかったのであまりひどい場面は見ずにすんだ。
「好プレイ集」を見て、前回のことは忘れてサッカーはすばらしいと思っていたら、ジダン頭突きだ。

イタリアの選手がひどいことを言ったらしい。挑発して反則を誘うのも戦術だそうだ。さびしい話だ。
競技場のスクリーンに映像を映すだけでなく、選手にマイクをつけて何を言っているかドルビーサラウンドの迫力ある音響で競技場に流すべきだ。

「殺すぞハゲ!」
「死ね!くそったれ!」
「おまえのかあちゃん×××!」
「あほんだら!おまえの嫁さんこそ×××!」

各国語を代表する下劣な放送禁止用語がスタジアムにこだまする。

頭突きはよくない。ケダモノのようだ。
人間は手を使う動物なのだ。
平手打ちなら場合によっては絵になる。

スペインのフェリペ二世が無敵艦隊を出撃させたと聞いてイギリスは震え上がった。
エドモンド伯爵がエリザベス女王に降伏をすすめる。
「お黙り!臆病者!」
叫ぶと女王は伯爵の頬を激しく打った。

かっこいいではないか!

「お黙り!臆病者!」
叫ぶと女王は伯爵の胸に激しく頭突きをかました。

これはダメだ。

大体サッカーの「ける」というのがよくない。
人間としての品格が問われる行動だ。

アレキサンダー大王のもとに、ペルシアのダレイオス三世が進撃を開始したという知らせが届いた。
「なに!ダレイオスが!」
叫ぶとアレキサンダー大王はこぶしを握り締めて激しく机をたたいた。

これもかっこいい。

「なに!ダレイオスが!」
叫ぶとアレキサンダー大王は紙くずかごを蹴っ飛ばした。

これはダメだ。

頭突きも蹴っ飛ばすのも人間としてどうかと思う行動だ。
サッカーはダメだ。