3回も書くほどのことではないが、他に書くことがないのでしかたがない。
国際サッカー連盟は、若草鹿之助商店サッカー事業部営業第一課懲罰グループの提案を受けて、「喧嘩両成敗」の方向で検討をはじめた。
「頭突き」のジダンと「暴言」のマテラッツイの双方を処分しようというものだ。
「頭突き」は明白で問題ない。
「暴言」は難しい。
言った、言わないは水かけ論だ。
言ったとして、それが「頭突き」に値するのか。
それを言ったら頭突きだよ、と国際サッカー連盟が決めるのか。
「暴言」対「頭突き」は難しい。
「暴言」対「暴言」ならわかりやすくてよかった。
あるいは、ジダンが頭突きをかましてきたとき、マテラッツイが胸で受けず頭突きで返して二人とも脳震盪でクラリとなって倒れていたらもっとよかった。
マテラッツイの「暴言」について若草鹿之助商店暴言事業部の解析結果が出た。
問題の場面を録画したビデオテープをレントゲン撮影した結果、「暴言」の内容が明らかになった。
マテラッツイはジダンの動きを封じようと執拗に接近し、ユニフォームをつかむなどの行為を繰り返していた。
いらいらしたジダンが口火を切った。
「オレのシャツがそんなにほしいのか。あとでくれてやるから下がってろ!」
「ふざけんな!そんなくっさいシャツ誰がいるか!くさいぜ!てめえのおふくろと姉貴に洗濯させろ!アルジェリアの洗濯女!」
「ちょっと待てラッツイ!今なんて言った!?」
「アルジェリアの洗濯女!」
ここでジダン頭突き。
アルジェリアはフランスの植民地であったが、それ以前から地中海をはさんで距離的にも近かったことから交流は盛んだった。
カスバなどの異国情緒がフランスの芸術家達を刺激し、文学、美術、音楽の題材となることが多かった。
なかでもアルジェリアの底辺の女性の職業であった「洗濯女」は数多く取り上げられている。
美術に限っても、「アルジェリアの洗濯女」という題で、ドラクロア、ダヴィッド、ルノワール、ドーミエなど多くの画家が描いている。
ではなぜ「洗濯女」と言われてジダンがあれほど激昂したのか。
アルジェリアの歴史について多少とも知識のある人には説明は不要であろう。
こんな風に書くともっともらしい感じがするだろうか。
またでたらめ書いてるとわかるだろうか。
もっともらしいと思ってほしい。