駅で。
「あと出しずる〜い!」という声。
女子中学生運動部員のグループがじゃんけんをしていたようだ。
あと出しではない、ずれただけだと懸命に弁解している。
楽しそうにもめていた。
じゃんけんの「あと出し」は、古典的典型的卑劣な犯罪行為である。
しかし、じゃんけんではたいしたことは決めないから、歴史上「あと出し」が重大な問題になったことはない。
と思います。
「早押し」は見苦しい。
「早押しクイズ」の「早押し」です。
答がわかっていようがわかっていまいがとにかく押してしまえ。
押したもん勝ち。
あれはあさましい。
「あと出し」のほうがマシなように思うが、じゃんけんに賞品や賞金やヨーロッパ旅行がかかっていれば、あさましく感じるかもしれない。
長女が幼稚園の年長組だったときのことである。
小学校入学に備えて、家内が足し算や引き算を教えていた。
そばで次女がうらやましそうに聞いている。
いずれわが身にも降りかかってくるとは知るよしもないのであった。
姉妹仲良く遊んでいると思ったら、次女が突然切り口上で言った。
「問題を出します。ウチにこたつかけが7枚ありました。ともちゃんが1枚持っていきました。りえちゃんも1枚持っていきました。さて、こたつかけは何枚残っているでしょう」
長女は、唐突になんだ、という顔をしながらも、「5枚!」と答えた。
「ちがいます」
「え〜!?あってるよ!」
長女は両手を出した。
「7枚あったんやろ。ともちゃんが1枚持っていったんやろ。りえちゃんが1枚持っていったんやろ。ホラ、5枚であってるよ」
「わたしも1枚持っていった」
「ええ〜っ!?!?あとから言ったらあかんわ〜!あとから言うのなしよ〜!」
「えへへ」