土曜日に本が届いた。
ダンボールケースで7箱。全部同じ本である。
著者は「若草鹿之助」で、本のタイトルは『今日はラッキー!』。
はやい話が自費出版です。(^o^)丿
「今日はラッキー!」を書きはじめて、これがあるていどの量になったら本にしたいと思った。「自分史」や「歌集」「句集」はもらったことがある。
「今日はラッキー!」も本にしたっていいじゃないか。
去年の春ごろから、本にするための原稿を作りはじめた。出版社もさがさなければならない。新聞でよく自費出版の広告を見る出版社に電話したら、「自費出版相談会」というのをやっていた。
さっそく行った。会社は立派なぴかぴかのビルにあった。
高くつきそうだ。
おしゃれな若い女性が現れてコーヒーをすすめてくれた。
ますます高くつきそうだ。
どっさり資料をくれた。
「自費出版の手引き」みたいなものである。
これはホントに高くつきそうだ。
資料を見ると、「まずテーマを決めましょう」と書いてあった。
「テーマは決まってるんですか」
「ありません」
次は「原稿用紙の使い方」
そして「いろんな表現方法を学ぼう」
女性の美しさを表現するのにいろんな書きかたがある。
彼女は美しい、彼女はまっかなバラのように美しい、彼女はまっかなバラだ。
なるほどいろんな表現方法があるものだと感心したが、だんだんいらいらしてきた。
「300ページの本を作るのにいくらかかるんですか」
「300万円くらいですね」
「えっ!300万!」
彼女は気の毒そうに言った。
「編集者が一人ついて何ヶ月もかけて作りますので」
300万円かける値打ちはありませんよ。本人がいうのだからまちがいない。
インターネットで調べる。
あった!
「お手軽出版ドットコム」
このシンプルかつストレートかつアヤシイ雰囲気にひかれてホームページを見ると、実に要領よく知りたいことが書いてある。
コーヒーも出ず編集者が何ヶ月もつかないかわりに安い。
「編集者?そんなモンいらん!文章の書きかた?ワシが教えたる!」と豪語する私のような傲慢な男にはぴったりのシステムだ。ワードで作ったデータをメールで送れば、そのまま本になるというのだからたしかにお手軽だ。
よっしゃ!「お手軽出版ドットコム」でいこう!
出版社は決まった。
あとは原稿を完成させるだけだ。