若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

待ってました!

『今日はラッキー!』をいろんな人に送ったので、いろんな人からはがきや手紙が来る。

「ほめてください」と書いて送ったから、皆さんほめてくれる。うれしい。
しかし、百人に送って百人がほめてくれるのはおかしい。おかしいが、まあそういうものだろう。
その点、学生時代の友人は遠慮がなくていい。前に、「鹿せんべいツイスト」のCDを送った時も、絶賛の嵐の中、高校時代の友人T君とK君は、一番だけ聞いたと言った。中でも美術部の友人だったT君は、「ようあんなしょーもないもの作ったな」と言ってくれた。

で、今回もT君の反応やいかにと待ち構えていたのだが、今日、やっとはがきが来た。
「前回のCD以来何事もなく平穏な我が家に一陣の嵐が吹き荒れたと承知して下さい。読み流すには失礼なこと、かといって熟読するにはあまりにも辛すぎる。次は何かと思うだけでも空恐ろしいというところでしょうか」

彼の家が平穏無事というのは事実に反するのではないかと思うが、それ以外は正直でよろしい。自費出版で友人知人に配って、こういう反応はまことにまれであろう。わたくしの人徳の致すところだ。

今日は、大学の友人Mさんからの手紙も届いた。彼女は、『今日はラッキー!』を読んで、美術部でいっしょだったN君の死を知ったのだ。彼女は、三十数年前、N君と私が、うちの墓がある信貴山に行ったという話を書いてきた。なんじゃそれは?

確かに、大学卒業後、N君は時々仕事で大阪に出てきて我が家に泊まった。
しかし、いっしょにうちの墓に行ったことなどまったく覚えがない。
何のことかと彼女にはがきを出した。

その返事である。
彼女は、自分が受け取ったはがき、手紙をすべて保存しているのだ。
1971年の9月に、私が彼女に出した手紙をコピーして送ってきてくれた。

なるほど、大学を出た次の年、1971年の8月29日、どういうわけかN君と私は、信貴山の墓に行っている。
謎だ。墓で、N君がMさんに手紙を書くと言って書いたのだ。
何でまた墓で?
見覚えあるN君の字。
彼の手紙に、ふざけたコメントをつけて私がMさんに送っている。

まぎれもない事実である。
大学を出たばかりの、今は亡きN君が、信貴山の我が家の墓で、涼しい風に吹かれながら、Mさんに手紙を書いている。

私は完全に忘れてしまっている。
おーい、N君、おぼえてるか。