亡くなったMさんのことを考えました。
彼女は私の一年上だったんですが、一年休学したんです。
べつに何のあいさつもありませんでした。
人から聞いたんです。
「Mさん、休学するんだって」
美術部の部長だったAさんに伝えたら、絶句しました。
「・・・なんか、こっちが偽善者みたい・・・」
私もそんな気がしましたね。
彼女はいろいろ悩み深く考えたすえ休学したのだ。
私は何も考えずのんべんだらりと大学に通ってるのだ。
こんなことでいいのか。
彼女が復学したときも何も聞かなかったように思います。
どんな絵を描いていたかもおぼえてない。
まったくおぼえてない。
彼女の写真もない。
大学美術部時代の写真って、あったかな。
合宿にも行ったし、展覧会とか飲み会とかいろいろあったけど、写真はないですね。
大学の卒業アルバムもないんです。
「大学紛争」のあおりで卒業アルバムなし。
非常にあっさりした女性という感じかな。
とくになんということはないのに、卒業以来四十数年、はがきと手紙のやり取りは続いた。
たしか、彼女を描いたクロッキーがあったと思って探したら、ありました。
美術部の合宿で、みんながかわるがわるモデルになったとき、私が描いたMさんです。
1967年か68年だと思います。