完成したら読ませてくださいとお願いしてあった本です。
去年、96歳になる男性が、「最後のご奉公」と班長を引き受けたのはいいけど、会議でみんなが何を言ってるのか聞き取れないので、近所に住んでる息子さんのお嫁さんにバトンタッチされた話は書きました。
その男性が、人生についての思いを執筆中と聞いて、読ませてくださいとお願いしてあったんです。
で、そのお嫁さんから手渡されたんです。
名著じゃなかった拙著『今日はラッキー!』を自費出版した私が言うのもなんですが、自費出版の本って、おもしろくないですよ。
いろいろ読ませてもらいましたけど、あまりおもしろいもんじゃない。
満州鉄道の要職にあった伯父に、自伝の執筆をすすめたことがあります。
当時のエリートコースまっしぐらから、一転シベリア抑留、帰還してからのビジネスの世界での活躍など、おもしろい本になると思ったんです。
しかし、伯父はうんと言わなかった。
非常に頭のいい人なんです。
「いろんな人が、自費出版した本を送ってくれるが、ろくなものはない。素人が書いてもだめだ。ちゃんとした編集者がついてこそ、読むにたえる本になるのだ」
たしかに・・・。
でも、私もいろいろ「自費出版自伝」を読みましたが、人それぞれの人生、おもしろいところもある。
で、読みたいと思ったんです。
今回いただいた本は、「自伝」ではなかった。
この方がどういう方かぜんぜんわからなかった。
人生論というか人生哲学というか、命についての思いを熱く語った本であった。
「限りある人生、一日一日を精いっぱい生きよ!」という本であった。
全ページ、そういう思いが詰まってる。
全頁というか、全行そうなんです。
二百数十ページの、一行一行に、「ごもっともです!」とうなずかざるを得ないのであった。
一行ずつうなずきつつ読むというのも、けっこうしんどいのであった。