二つ夢を見た。
ゴルフ場への道を、素足にサンダルばきで歩いている。
ゴルフに関心のない私が、なぜゴルフ場へ?
ゴルフ場が見えてきた。
前方に芝生が広がっている。
夢の中の私は、お、芝だ、サンダルを脱がなくては、と考えている。
夢の外の私は、おいおい、サンダルでだいじょうぶ、脱がなくていいのに、と考えている。
夢の中の私は、サンダルを脱いで芝生を踏んだ。
冷たい芝の感触が心地よい。
ああ、子供のころ、原っぱで素足で遊んだ時、こんな感じだったなと思った。
おかしな夢だが、まあ、素足で草を踏んだ時の感覚を思い出したのだから、いい夢だったといえる。
もう一つの夢では、私は、愛用のエレキギター、ギブソンレスポールを持って、劇場にいた。
私は、入り口のドアの横に立っていた。
はるか向こうに、ライトもまぶしいステージが見える。
象徴的である。
私のウデでは、ステージは手の届かぬはるか彼方である。
そんなこと、わざわざ夢で知らせてもらわなくてもわかってます。
私は、ギターからのびたコードを壁のコンセントにつないだ。
そして、壁から出ているガスのゴムホースをギターにつないだ。
ガスギター?
しかし、これもわかりやすい。
私がギターを弾く部屋に、ガス温風器があるのだ。
入り口ドアから、高校の美術部の大先輩Nさんが入ってきた。
高校時代はお世話になったが、親しいわけではない。
Nさんは、笑いながら、「ええギター持ってるなあ。高かったやろ」と言った。
油絵一筋のNさんが、エレキギターのことを知っているのか?
「四千円はしたやろ」
よ、よ、四千円!?
じょーだんじゃない!
「37万円ですよ!」
教室の若者たちにちょと手が出ない様な値段のギターを買おうと思って買ったので、とにかく値段が肝心なのだ。
四千円といわれては立つ瀬がない。
この、ギブソンレスポールは、私のあさましさのシンボルといえる。
Nさんは驚かなかった。
リッチな人なのである。
「『かしまし娘』もええギター使てるらしいな」
突拍子もない発言のようだがそうでもない。
以前、尊師から、漫才さんのギターは高いですよと聞いたことがあるのだ。
それにしても、なぜ「かしまし娘」が出てくる?
ハードロックギタリストを目指して15年、気づいてみたら「歌謡漫談」の世界に入っているからだろうか。