テレビ体操の座ってる人にこだわる。
なんだか、えらそうに見えるのが不思議である。
この人の位置によるのかもしれない。
五人でする場合、扇形になるのだが、座ってる人が一番前で、扇の要の位置だ。
そこでいすに座ってるから、関が原合戦に臨み東軍を率いる徳川家康というか、川中島に陣取る武田信玄というか、なんとなくえらそうに見えるのかもしれない。
あるいは、この人の動きによるのかもしれない。
他の四人は健康そのものという女性で、きびきびと体操する。
いすの人は、一応身体がちょっと不自由という設定だろう。
他の四人が、クイックイッ!と勢いよく二回曲げるところを、ゆったり一回で済ましてほほえんでいる。
優雅である。
他の四人が小作人、この人が女地主で、相続した広大な土地の年貢で暮らしている感じだ。
この五人のグループはいい雰囲気である。
たぶん、一斉に同じことをしてないからだ。
一人だけちがうことをしてる。
能力に応じて働く。
マルクスが見たら喜ぶかもしれない。
喜ばないかもしれない。
立っている女性たちの動きに、私はついていけないことがある。
クイックイッ!と鋭く身体を曲げるとき、私は、クイ〜ンクイ〜ンとなる。
スポーツジムどころではない。
テレビ体操にもついていけない。
いすに座ってやるほうがいいかもしれない。
いすに座ってる人に親近感を持ってるだけかもしれない。
いすに座りたいのかもしれない。
何を考えてるのかわからなくなってきた。