「鹿せんべい飛ばし大会」の帰りに、久しぶりで、英会話体験をした。
尊師と、ヤマハボーカル科を代表する熟女U山さんと、春日大社のバス乗り場で、近鉄奈良駅行きのバスを待っていたら、後ろから、「ナラステイション?」という声が聞こえた。
振り向くと、金髪、青い目のヤングガールと、中年女性であった。
「ようこそ奈良大和路へ。古都の春を楽しんでいただけましたでしょうか。日本初の国際都市、平城京ができて1300年を迎えようとしています。平城京遷都1300年祭にむけて、私たちは世界各国からのお客様を、心から歓迎いたします」という思いを、ダラダラしゃべるのはよくないので、その思いを笑顔に込めて、私は、流暢な英語で、簡潔に「ナラステーション!」と答えた。
彼女を安心させるため、精一杯の笑顔を振りまいたのが、逆目に出たのか、不安げに後ろに下がった。
これはいかん、怪しい者ではないということを示さねば、おお、CDがある、とCDを取り出して、中年婦人にさしだした。
「これは、若草山山開き記念鹿せんべい飛ばし大会のテーマソング『鹿せんべいツイスト』という曲で、私が、作詞作曲して歌っています。今日が、大会当日で、先ほど野外特設ステージでこの曲を歌ってきました」と、ここは現在完了形でとは思ったが、ダラダラしゃべるのはよくないので、簡潔に、「マイCD!」と言って渡した。
中年婦人は、さっと警戒の色をあらわにして、「ハウマッチ!?」と切り口上で言った。
私は、「とんでもありません。お金を頂く気持ちなど、毛頭ございません。私のつたない曲を、外国の方に聞いていただけるだけでも望外の喜びでございます」と言おうかと思ったが、ダラダラしゃべるのはよくないと思い、簡潔に、「プレゼント!」と言った。
「マイCD!」
「ハウマッチ!?」
「プレゼント!」
テンポのいい英会話だ。
ただなら何でももらっておこうというのは万国共通のようで、彼女は「サンキュー」と言って受け取った。
ケースを開いて、私のキンキラキンジャケットキメポーズ写真を見て、「プレスリー!」と言った。
そして、CDケースを指して、「ユアシグネチャ」と言った。
私の英語力を信頼して、彼女も簡潔だ。
サインして、「ユアネイム?」と聞いたら、若い方が、ステファニーさんで、中年女性がアンドレアさん。
カタカナで書いたら喜んでました。