若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

こーき君がやってきたPART2

というような、ほほえましいというか、涙ぐましいというか、おろかというか、あさましいというか、つくしたりない私がバカね的努力の甲斐もなく、妹は、今に至るまで、こーき君に指一本触れるできないという。
だっこなど、とんでもない。

私の妹が鬼のような顔をしてるというわけではない。
それどころか、兄の口からいうのもなんだが、50年ほど前には、山本富士子に似ているといわれたこともあるのだと、何かにつけて繰り返し自分から持ち出すのだが、なるほど、50年前なら、そんなこともなきにしもあらずかと、知らない人を渋々納得させるくらいのことはできますよ。

つまり、こーき君は、人見知りが激しい、というか、現在、「ママオンリー」的段階にあるのだ。
妹がどうとか、タイガースがどうとかいうことではない。

状況が悪い。
その状況の悪さに、妹が輪をかけていると思う。

妹は、こーき君を見るや、「アッラー!こーきく〜ん!」と叫んで突進していると思う。
これだから素人は困る。

自分のこととして考えたらわかるだろう。
自分より何倍も大きい見知らぬ人間が、大声を上げて突進してきたら、誰だって恐い。
ましてや、相手は、母子一体的幸せ世界から抜け出したばかりの赤ん坊だ。
泣き出すのは当然でしょう。

私は専門家だから、そんなことはしない。
こーき君たちを迎えに行った私は、こーき君を見なかった。
甥達と話す時も、空を見上げながら話した。

自分が注目されていると思わせてはならない。
主導権は自分が握っていると思わせる。
おじさんに見られているのではなく、自分がおじさんを見ているのだ、と感じさせる。
赤ちゃんの主体性を尊重する。

作戦は成功して、こーき君は泣かなかった。

見知らぬ家に入っていくのも、赤ちゃんは緊張する。
熱烈歓迎的雰囲気が必要だ。

私は、ウチにある、すべての縫いぐるみを動員することにした。
長女が、ロシアで買ったチェブラシカと、友達からもらった巨大熊、次女が買った、たらこキューピーなどを、玄関を入ってすぐの階段に並べた。(掲示板の写真を御参照下さい)

こーき君は、入るなり気づいて、「わんわん!」と言った。

こうした、若草鹿之助商店赤ちゃん事業部の周到な準備が功を奏し、こーき君は我が家でご機嫌で、妹は、晴れてこーき君を抱っこすることができ、涙を流して私に感謝したのであった。