「素粒子」というのは、朝日新聞夕刊のコラムである。
先日の「素粒子」で、鳩山法務大臣になって、死刑執行が多いことをとらえて、鳩山さんを「死に神」と言ったそうだ。鳩山さんは怒ったし、朝日新聞には抗議が殺到して、「素粒子」が、おわびというか、反省というか、まあ、そんなふうなことを書いたのである。
ウチは、朝日新聞だが、「死に神」と書いたことは知らなかった。私は、新聞はすみずみまで読む。訃報欄、葬儀の広告、各企業のお詫び、訂正など、全部読まなければ損だという気合で読む。
ただ、ここ何年も、「素粒子」は読まない。
あまりにもお粗末過ぎて、読むと、腹が立つより、情けなくなるからだ。
よほど頭も悪けりゃ性格も悪い、くずみたいな男が書いている、というのではないと思う。朝日新聞の、えらい人が書いているのでしょう。
「社説」を書くのが四番バッターなら、「天声人語」は三番、「素粒子」担当は五番バッターくらいか。朝日新聞の看板のひとつだ。
昔、私は、「素粒子」を感心しながら読んでいた。その時々の話題を、わずかな言葉で、実にうまく料理する。名人芸に何度も舌を巻いた。さすがプロであると、脱帽していた。
ところが、何年か前から、おかしくなった。筆者が変わったのだろうが、それにしてもひどい。はじめは、腹を立てながら読んでいたが、そのうちアホらしくて読む気がしなくなった。
なぜ、こんな男に書かせるのだろうと、不思議であった。他にも記者はいるだろうに。今書いている人には、こういうコラムを書く能力がまったくないと思う。
野球で言えば、テレビ観戦が趣味のおじさんに、巨人や阪神の五番をまかせるようなものだ。誰が考えても無理な話だ。
野球ではありえないことが、朝日新聞で起きてしまった。
しかも、何年も続いている。ナゾである。
「素粒子」は「反省文」を出したが、無駄ですよ。
やめさせなさい。今書いてる人は、生まれつきヘタなのだ。ヘタで悪いということはない。
カルチャーセンターの人物画教室で、最高齢と思える女性がいる。
彼女の描く絵を、上手かヘタかと問われれば、断然、ヘタ!と答える。
好きか嫌いかと問われれば、断然、好き!と答える。
「素粒子」は、ヘタなうえに、好感が持てない。
救いようがない。
今度の騒ぎは、うれしいくらいです。