きのうは乗馬クラブ。
行きのマイクロバスに、女の子が乗っていた。
中学生に見えたが、高校一年生だった。
その子の後ろの座席の中年女性が、しきりに質問する。
その子は、小学三年生から馬に乗っている。
おじいちゃんとおばあちゃんが、クラブに入っていたのだ。
今では「障害コース」にすすんで、競技会にも出ている。
競技会に出るのは、馬を借りたり、なかなか大変である。
というようなことが、中年女性の質問でわかった。
あまり質問攻めにしたら嫌がるだろうと思ってたら、そのうち女の子が答えなくなった。
たまらずケータイをはじめたようだ。
三回目の乗馬である。
初心者用の、円形の馬場で、真ん中でインストラクターが引き綱を持っている。
インストラクターを中心に、円を描きながら馬が動く。
ポクポク歩くのと、パッカパッカ駆け足と、今のところ二種類である。
ポクポクのときは、ふつうにすわってればよろしい。
パッカパッカになると、もちろん速度も変わるが、それより上下動が激しくなる。
馬とリズムを合わせないと、お尻が馬の背に、ドンドンとぶつかる。
私も痛いが、馬が、「上手に乗れ!」と怒り出すのじゃないかと気が気ではない。
前回までは、走っているうちに、たまにリズムがあうこともある、という感じだった。
きのうは、ちょっと要領がわかってきたのか、かなりうまくリズムがあった。
リズムがあうと、実に快適である。
快適ではあるが、息が切れる。
ハアハアいってたら、インストラクターが笑って、「若草さん、走ってるのは馬ですよ」
わかってます。
快調に、ゆっくり走り続ける。
「若草さん、調子いいですね。そのままいきましょうか」と引き綱を外し、馬は広い馬場へ向かい、馬場が広くなると、速度も自然に上がるのか、たてがみがなびくほどになると、8月とはいえ葛城高原の澄んだ空気が肌に心地よく、馬に身を任せているうち、前方に柵が見えたと思うと、サラブレッドの血が騒ぐのか、十勝の牧場を駆け巡ったころを思い出すのか、ひづめの音も高く柵に突進するのを、二メートルほど手前で、「ハイヨー!」と声をかけると同時にピシーッ!と一鞭当てれば、人馬一体、風のように柵を跳び越すというような日がいつになったら来るのだろうかと思いつつ、ポックンポックンと馬の背に揺られていたのであった。