高校時代の友人と飲む。
近鉄上六駅地下改札口、10分間理容チェーンQBハウス前で、おじさん5人が待ち合わせるという、実にさえない設定である。
一番先に着いた私は、こういう雑然とした場所にはふさわしくないので、地下通路を急ぐ人達が、QBハウス前すっくと立つ私を、掃き溜めに鶴という感じで見てるのじゃないかと思うと恥ずかしかった。
少し待ってると、こういう雑然とした場所にふさわしいK君が来た。
彼は、第二の職場だったか、第三の職場だったか、某企業の監査役だ。
毎日会社へ行ってるのかと聞いたら、
「毎日行ってる。べつに毎日行かんでもいいんやけどな」
「行かん方がいいんとちがうか」
「・・・」
こういうことを言ってくれるのは、学生時代の友達なればこそ、なかでも、真実をひと言で言い当ててくれるのは、鹿之助、おまえしかいないよと、感謝しているK君だが、根が不器用な男で語彙も貧困だから、言いたいことも言えず、しみじみと遠くを見るような表情を浮かべただけであった。
全員そろったところで、いつもの串かつ屋に行く。
私以外の四人は、熱烈なタイガースファンだから大変であった。
岡田監督の采配と、選手では赤星選手、今岡選手が特に名指しで批判されていた。
岡田監督、赤星選手、今岡選手がどんな罪を犯したのか知らないが、ここまでボロクソに言わなくてもと同情を禁じえなかった。
批判というより、三人の人でなしをののしり糾弾するという感じだ。
裁判員制度が心配になってきた。
四人は、曲がりなりにも有名大学を卒業した、思慮分別のある社会人のはずだ。
それが、タイガースのこととなると、ヤンキーのにいちゃんとかわらない。
というか、四人は、本当はヤンキーのにいちゃんなのだが、世間の目を欺いて、思慮分別のある社会人に成りすましているということだろう。
飲みながら、ケータイで試合経過を確認していた。
はじめはタイガーズが勝っていて、四人ともご機嫌であったが、結局負けてしまったのはいい気味じゃなかった気の毒であった。
その後、話題は、サブプライムローン問題、消費税問題に移ったが、ついさっきまで、「今岡のボケが!」とわめいていた男たちの話をまともに聞く気はしなかった。
どんな集団でも、まともなのは二割だけというのは本当だと思う。
昨日の五人の中では、まちがいなく私ですよ。