朝日新聞奈良版。
「『カチッ』が快感、ダイヤル錠盗む」
番号をあわせて開錠するダイヤル錠を盗んだとして、64歳の男が窃盗容疑で逮捕された。
男は、「番号が合って、カチッと鳴って開いたときの喜びが忘れられなかった」と容疑を認めている。
男の自宅からは、40個の錠が見つかった。
男は、いろんな場所で錠を開けては盗んでいたが、錠以外は盗んでいなかった模様である。
悪い人だ。
が、それほど悪い人ではないようにも思える。
が、錠を開けられて盗まれた人は、気持ちが悪かっただろう。
やはり、人を不安に陥れた悪い人だ。
不安に陥れた悪い人だが・・・と、堂々巡りになってしまう困った人だ。
「カチッと鳴って開いたときの喜び」というのが、わかる気がする。
共感してしまう。
共感はするが、私にはできそうもないのでうらやましい。
それほど器用じゃないから。
い、いや、器用でもしません。
絶対にしません。
錠がいっぱい置いてあって、さあ、ダイヤルの数字を合わせて、ご自由にお開けください、といわれたら、あまり快感は味わえないと思う。
やはり、夜中にこっそりでしょう。
いや、私はしませんよ、しませんが、「カチッと鳴って開いたときの喜び」は、夜中にこっそりでないと無理ではなかろうか。
「数字が合って、カチッと鳴って開いたときの喜び」、これは純粋な喜びといえるのではなかろうか。
金庫を開けて、札束を手にしたときの喜びとは、レベルがちがうように思う。
なんとかならないのであろうか。
この人のためにできることはないだろうか。
人の心配をするより、自分で、数字が合ってカチッと鳴る瞬間を求めて努力すべきかもしれない。
ギターや絵にも、そういう瞬間はあるのかもしれない。
ふつう、味わえないので、この人のことがちょっとうらやましいのかもしれない。