高校の美術部でいっしょだった元天才少年で、今大学教授のS君が講師を務めるデッサン講座に行った。
石膏デッサンは初めての経験である。
高校で美術部に入ったとき、美術室にずらりとならんだ石膏像を見て、うわー、これを描かされるのか、とぞっとした。
白い石膏のカタマリなんか描いてもおもしろくなさそうだ。
ところが、「石膏デッサン禁止」なのであった。
ラッキーであった。
先生は、東京芸大出身の立派な先生だったが、というか、立派な先生だったからというべきか、石膏デッサンは一つの行き方にすぎない、という考えだったようだ。
美術系の大学に進みたい者は、三年の二学期から石膏デッサンをしなさいということだった。
そんなおもしろくないことをせずにすんでよかった。
と思っていたのであるが、この年になって、やっぱりやっといたらよかったかなと思うようになった。
わからんもんである。
S君が、短期デッサン講座をやるというので、喜んで参加した。
受講者は、私のほか四人。
70代から80代の女性である。
若い男は私一人。
最近、このパターンが多いですね。
ビーナス像を描く。
まずS君がお手本を見せてくれる。
実に大雑把な、いーかげんな描きかたである。
何も考えず、適当に線を引きまくる。
みたいに見える。
で、お手本どおり、大雑把にいーかげんに適当に線を引きまくろうとしても、そうは行きませんよ。
色々考えてしまう。
素人が色々考えてもダメである。
本来なら、もっと考えてしまうところだが、先生のお手本を見たところだから、ヤケクソになって線を引きまくる。
これがいいんでしょうね。
初めてにしては、まあまあのできだ。
と自分では思いました。
3時間、あっという間であった。
皆さん、それなりに描けてました。
作品をならべて先生の講評。
「Aさん、いいですね!100点!」
「Bさん、スケールが大きいです!100点!」
「Cさん、かわいいビーナスですね!100点!」
「Dさん、頭、首、胸、きちんと描けてます!100点!」
「鹿之助君・・・長いことやってるわりには、もひとつやね。80点!」
(>_<)