ワープロの打ちまちがいで、ときどき面白いのがあります。
さっき、「自画像コレクション」と打ったつもりが、「自我憎悪コレクション」と出ました。
意味ありげな打ちそこないです。
さて、「ウフィツイ」という発音しにくい名前について、まったく考えてませんでしたが、「事務所」という意味だそうです。
トスカナ大公国を支配してたメディチ家の人が、都庁の事務所みたいなとこに、自分が集めたいろんな絵を持ち込んで飾ったのが始まりらしい。
しばらくして、「自画像を集めたら面白いんじゃないか」と思いついた人がいて、自画像が増えた。
またしばらくして、頭のいい人が考えた。
絵のコレクションも、これからは差別化だ、ウチは自画像をウリにしよう、やるなら徹底的にやって、後から真似しようと思ってもできないよう、今のうちに根こそぎ集めてやろう!というようなわけで、ヨーロッパの巨匠や流行作家の自画像を買いあさったようです。
その後、この「自画像コレクション」が有名になると、「私も自画像を寄付しちゃおう」と考える画家が出てきても不思議ではありません。
二流、三流画家たちの作品が大量に持ち込まれて、「ウフィツイ美術館自画像コレクション」の評価が下がるというような、困った時代もあったようです。
三十年ほど前、またも頭のいい人が、「ウフィツイ美術館設立400年記念事業!」と銘打って、「世界の一流画家」に、自画像を寄贈してもらおうという、面白いようなけちくさいような、ちゃっかり企画を思いついた。
誰に頼むか苦労したようです。
そうでしょうな。
「ウフィツイ美術館公認一流画家」
私に依頼があれば、喜んで自画像寄贈します。
10枚でも20枚でも寄贈します。
まあ、その結果、質、量共に、美術館ウハウハ的寄贈があったそうで、めでたいことです。
で、展覧会ですが、見応えはあったが、いささか不満も残った。
私が期待してた一枚が、東京だけで展示して大阪には来てなかったんです。
マリー・アントワネットの肖像を20点以上描いたというベッピン画家、ヴィジェ・ル・ブランの自画像です。
「ベッピン画家」といっても、彼女の自画像写真からするとベッピンさんということであって、ホントにベッピンさんかどうかはわからない。
私の、「自画像男前派」に張り合って、彼女は、「自画像ベッピン派」なのかもしれません。