若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

死亡通知はいらん!

野見山暁治著『アトリエ日記』『続アトリエ日記』を続けて読んでます。

1920年生まれの画家野見山さんの、2003年から2008年にかけての日記です。

野見山さんの絵を見たのはわりと最近です。

「ウフィツイ美術館自画像展」を見に行って、同時開催の戦後日本の抽象画展を見たときです。
おもしろくない絵が多いなあと、歩きながら見流してたら、「お!」という感じで、目がとまり足がとまった。
心臓もとまってたら私の感受性も一人前というとこですが、幸か不幸か目と足だけ。

野見山さんの絵や、田淵安一さんの絵の前で足がとまったんです。
大量のわけのわからん抽象画がずら〜っとならんでるなかで、わけのわからん抽象画にパッと目がとまるというのも不思議だと思います。
なんか、ぴんとくるんですね。
このお二人が古くからの友人だったというのも、私にすればなんか不思議でした。

野見山さんの文章も、なんかぴんときます。
歌がうまいというより、声が好きという感じかな。

同時に読んだ高峰秀子さんの『私の渡世日記』も面白いですが、こっちが歌がうまいという感じ。
サービス満点。

『アトリエ日記』は、ぼそぼそつぶやいてる感じがいいです。

野見山さんのトシがトシだけに、友人、知人が次々に亡くなりますね。

誰かの葬式に行って帰ったら誰かの訃報が届いたり、「○○が死んだよ」と知らせたら、「××も去年死んだよ」と教えられたり。
どんどん死ぬ。
すごいです。

野見山さんが呪われてるんじゃないかと思うくらい。
ご本人も、「もう死亡通知はいらん!」とカンシャクを起こしてます。

長年、第一線で活躍を続けてると知り会いも増え付き合いも深くなる。
で、「死亡通知」がどんどんくる。

私は、ここ数年、友人知人から、「喪中につき・・・」というハガキをもらうことが多くなりました。
親が死ぬ年齢になってるということですね。
そういうハガキは平静に受けとれます。

そのうち自分たちが死ぬ年齢になってくる。
こっちはそう平静ではいられないでしょうね。

ただ私は長年第一線で活躍したわけではないので、「もう死亡通知はいらん!」というほどのことにはならないのでありがたいです。