若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

肖像画

肖像画は、似てなくていいんです」

以前、美術予備校の先生にこう言われてカックンとなりました。

肖像画を頼まれたら、女性なら、ひたすら若く美しく、アクセサリーは2、3割大きめに描く。手を美しく描くのも忘れてはいけません。男性なら、堂々と立派に描く。似てない!と文句を言われたことはありません」

なるほどネ。

肖像画と人物画はちがいます」

プロの絵描きさんならではの意見ですね。

肖像画の「モデル」は「依頼主」で、お金をくれる人である。
この場合、「モデル」の気に入るように描く。

人物画の場合、「モデル」はカネを払ってやとうものである。
「モデル」に気に入ってもらう必要はない。

こういうことでしょうか。

カネをもらうあてのない私にはピンとこない話です。

先生に絵を見てもらうとき、「これは肖像画ですか?人物画ですか?」と聞かれる。
私にとっては、どっちでもいっしょというか、ちがいがわからない。

前に、娘の友達のAさんを描いて、先生に見てもらったとき、「肖像画なら、この髪の乱れはなおした方がよろしい。人物画ならこれでいいです」と言われた。
乱れてたんですが、なおしました。

先生は、「肖像画の場合、その人の特徴を見つけた!と思っても、描かないほうがいいです」とも言われました。
その人の特徴と思える部分は、その人が気にしてることが多いからというのです。

肖像画というのは難しいもんだと思いました。

美術史上に輝く巨匠たちが描いた肖像画も似てないんでしょうね。
ベラスケスは、スペイン国王フェリペ4世を、実際よりはるかにスマートに、はるかに男前に描いたようです。
X線撮影によって、下絵の存在が確認されて、ベラスケスの素晴らしいウデというか、ごますりというか、これはなんじゃ?というややこしいことがややこしいままに明らかになってます。

先日読んだ『アカデミーとフランス近代絵画』という本にも、似たようね例が出てます。

ポール・ドラローシュという19世紀フランスの有名画家が描いた「パストレ侯爵の肖像」です。
下絵の侯爵は、ただの「初老のおじさん」ですが、仕上がり作品は、顔と言いポーズと言い「堂々たるフランス貴族!」になってます。
どうしたらこんなに変えられるのか感心しますよ。

肖像画の名手、ジョン・シンガー・サージェントの画集には19世紀後半以降の、欧米のセレブたちの絵がいっぱいです。
みなさん素晴らしき美男美女です・・・。(-_-;)

注文殺到のサージェントですが、50代後半からはほとんど肖像画を描かなかったようです。
いやになったんでしょうな。

↓久しぶりに、息子のお嫁さんにモデルになってもらいました。
 予備校で教えてもらったやり方で描きはじめました。
 これはかなり似てると思うので、「肖像画」じゃなくて「人物画」かな。