きのうは高校時代の友人たちと飲みました。
「トラキチ」集団です。
「トラキチ」というと、阪神タイガースを熱狂的に応援する人のことだと思うかもしれませんが、ちがいますよ。
阪神タイガースのことでアタマがおかしくなる人のことです。
完全に狂っちゃいます。
私だけ、野球に興味がないんです。
そして、私だけ日本酒で、トラキチは全員焼酎です。
日本酒をちびりちびりと飲みながら、完全に狂った彼らが焼酎のグラス片手に口角泡を飛ばしてわめきあうのを見下しているのは至福のひとときです。
いくら鈍感な彼らでも、ニヤニヤ笑って聞いてる私に馬鹿にされてることは薄々感づいてると思います。
彼らも、最初から狂ってるわけじゃないです。
飲み始めは、おだやかに孫の話やゴルフの話です。
そうですね、焼酎二杯目くらいからですか、狂い始めるのは。
なんとなく気配でわかるんですよ。
始まるときは、目の色が変わってつりあがるんです。
「きのうのアレ、なんやねん!信じられへん!あのボケが・・・」
さあ皆様、お待たせいたしました!
トラキチ与太話ゴールデンウイーク総集編!
タイガースの話になると、登場人物は全員「あのボケ」「あのアホ」「あのバカタレ」「あのクソったれ」です。
いい話なしです。
でも、きのうはちょっといい話が聞けるんじゃないかと期待してました。
新聞で、タイガースの代打桧山選手が決勝打を打った記事を見てたからです。
大ベテラン、代打の切り札が長く続いた不調を吹き飛ばす一打だったとほめてありました。
その話題を振ってみました。
ところが、これがまた気に入らないんですな。
Fくんの逆鱗に触れてしまった。
「なに〜!桧山!あのボケが、なんで代打の切り札やねん!代打の神様!?神様やったらもっと打たんかい!貧乏神じゃ!若草!おまえ、あいつが何千万とってるか知ってるんか!?」
知らんがな。
「それから、ほれ、あいつ、あのアホンダラ・・・」
記憶力の減退をあからさまに示しつつ、Fくんは向かいに座ってるKくんに救いを求めました。
「あのアホンダラ?だれや?」
「ほれ、あいつやがな、あのボケ」
「う〜ん、阪神はボケ多いからなあ・・・」
「ほれ、あの、三番のアホ」
Kくんが頼りにならないと見たFくんは、苦悶に顔をゆがめて隣のMくんにすがった。
「三番のアホ?う〜ん・・・阪神はアホも多いからなあ・・・」
「あいつやがな!あの三番のアホンダラ!」
私も新聞のスポーツ欄くらいは見てるので、あてずっぽうで、「鳥谷か?」と言ったら、「おお!鳥谷鳥谷!鳥谷のボケが・・・」
よくおぼえてたとほめてくれるかと思ったら、誰もほめてくれませんでした。
次々と選手を血祭りにあげる。
「ピッチャーやけどな、スタンリッジ・・・いや・・・メッセンジャーやったかな・・・」
「おお、おれもどっちがどっちかわからんねん」
「わからんな!スタンリッジとメッセンジャー。ややこしなあ」
「ややこしい!」
「どっちもカタカナやからな」
「カタカナはややこしなあ」
みなさん、記憶力だけじゃなくて、脳の機能全般にかなりの衰えが見られますね。
「まあ、和田が監督してる間は阪神もあかんわ」
「あかんな」
「あかん!絶対にあかん!」
だいぶ前は、「岡田が監督してる間は阪神はあかん」で、少し前は、「真弓が監督してる間は阪神はあかん」でしたよ。
誰が監督をしてもダメなんじゃないですか。
「だれかええやつおらんのか」
「監督なあ・・・掛布はどうや!」
「あれはアカン!借金だらけや!」
「そうや、借金だらけやな。あかんな」
「しかし、真弓も借金だらけやったらしいで」
「ああ、真弓もすごい借金やねん!」
「い〜や!ちょっと待て!あのなあ、借金ですごいいうたらなあ・・・金本やで!」
「うん!あいつはすごい!」
何の話ですか。
彼らの話を聞いてると、阪神タイガースという球団が未だに存続してることが不思議でならない。
とっくの昔に、破綻、解散、蒸発、消滅しててもおかしくないと思います。
日本プロ野球界のナゾですね。