「お笑い視力検査」が終わって全員着席。
申し遅れましたが視力検査が始まるとすぐ部屋におっちゃんが入ってきて部屋の上の方に設置してあるテレビをごそごそさわってるなと思ったら「高齢者講習」のビデオが始まった。
始まるのを見届けたおっちゃんは無言で出て行った。
「視力検査の間に見ていてください」くらいは言うべきじゃないのか。
ここ、だいじょうぶかな。
ちょっと気になったのは山田さんの机はテレビの真下なんです。
だから山田さんはビデオを見ることができない。
だいじょうぶかな。
視力検査を終えたパワフル熟年女性がテキストを振りかざして「それではこれから講習に入ります」と言ったので講師を呼んでくると思ったら「そしたら~2ページを開けて!」と言ったのでかっくんとなった。
視力検査係のおばちゃんと思ってたら講師だった。
だいじょうぶかな。
だいじょうぶでした!
おもしろ~い!
大事なところはきっちりおさえてます。
「わたしね~、きついことも言うよ~!でもな、みなさんに~、違反してほしくないの!事故起こしてほしくないの!違反しゃんといて!事故しゃんといて!」
気持ちがほとばしりでてます。
「で、山田さん!」
「なんや、またわしかいな」
「そうやで!目ぇつけられたら終わりや。山田さん、ふだん車間距離はどれくらいとってる?」
「そうやなあ・・・5メートル・・・」
「5メートル!?」
「いや・・・7メートル・・」
だいじょうぶかな。
「高齢者で一番多いのが右折時の事故。山田さん!」
「またわしか」
「この場合どうする?」
ホワイトボードに交差点が描いてあって磁石でくっつくおもちゃの車を使っての講義です。
「これが山田さんの車や。レクサスやで。乗ったことないやろけど」
「乗ったことない」
「そやろ。今日は特別に乗せたるわ。ふだんは軽トラやろ」
「よう知っとるな」
「毎日軽トラで畑に行っとるんや」
「畑にも行くけど毎朝この近所の喫茶店に来とるで」
「この近所の喫茶店て『キャリオン』?」
「そうや。キャリオンで毎朝モーニングや」
「キャリオンで毎朝モーニング!え~身分やなあ!それはどうでもええけど、これが山田さんの車。向こうから対向車が来てます。横断歩道を歩行者が渡りかけてます。山田さんは右折。どうする?」
「う~ん・・・こう行くかな」
「右折て言うてるやろ!そっちは左や!」
だいじょうぶかな。