きのうは筆と絵の具を買いに行きました。
二十数年来のなじみの店です。
親子三人でやってたんですが、何年か前からおかみさんの姿が見えなくなった。
息子に聞いたら、「実家の手伝いに行ってます」とのことであった。
どうも実家の手伝いが長すぎる。
二、三ヶ月ほど前からおやじの姿が見えなくなった。
息子に聞いたら、「バカンスです」とのことであった。
バカンスが長すぎる。
息子一人で孤軍奮闘です。
画材販売よりも、額縁関係の加工が主なので忙しいんです。
買いに来るのは中高年女性客が主体で、時間をくう客が多い。
たとえば以前油絵の紫色の絵の具を買いに来た高齢女性。
「前に使ってた絵の具と同じ色がほしいんやけど」
「何色ですか」
「紫やけど、紫もたくさんあるんやねえ。どれやったかしら」
「色の名前はなんでした」
「さあ・・・」
「メーカーは?」
「さあ・・・」
時間かかるんです。
きのうはなんと先客4名。
全員高齢女性だったので、覚悟を決めて待つ。
私はぜんぜん迷いませんよ。
筆と絵の具をぱっぱっと手にとって待ってました。
息子は二人の女性を同時接客。
すでにだいぶ時間を食ってるようで、ちょっとイラついてるようであった。
二人共、水彩画の展覧会に出す額を買いに来てた。
ひとりは、自分の絵のサイズもわからず買いに来てた。
搬入が来週の月曜で急ぐのだそうです。
息子はさじを投げて、額縁をいくつか並べて自分で選んでくれといった。
もう一人は、額縁に入れる台紙の色で悩んでました。
色見本帳を見ながら相談する。
「この藤色、きれいやねえ」
「きれいですね」
「これにしようかしら」
「まあ、絵に合わせてもらうのがいいんですけどね」
「これ、合わないかしら」
「い、いや、絵を見せてもらわんと・・・」
「何にでも合いそうに思うんだけど」
「う〜ん・・・」
「合計三ついるんだけど、あとのはこの水色にしょうかしら」
「それはどんな絵ですか」
「さあ・・・お友達に頼まれたのよ」
「サイズはいっしょなんですか」
「と思うんだけど」
「か、確認していただいたほうが・・・」
こういう人は、洋服を買うような気分なんだろうと思いました。
店員とああでもないこうでもないとぺちゃくちゃおしゃべりするのも楽しみのうちなんでしょうな。
ここで息子はぱっと私の方を見た。
「若草さん!今日は筆と絵の具ですか?」
「うん」とうなずくと、息子はほっとしたように筆と絵の具を奪い取って電卓をたたいた。
5487円。
息子は数字を見て、「え〜・・・5000円で!」
いつも端数をまけてくれるんで、5400円かなと思ってました。
きのうはイラついてたぶん思い切ってまけてくれましたね。
高齢女性客のおかげで400円得した!ヽ(・∀・)ノ