肖像画を描くことが多いです。
モデルになってもらって、じっとすわってもらって、じっくり見ながら描くのは楽しいです。
ひとつ、たいへん残念なのは、じっとすわってもらうと、いつもの顔じゃなくなるんです。
ふだんの顔でなくなるといっていいのか。
まあ、あたりまえですね。
じっとすわってじっくり見つめられることなんか、ふつうないですからね。
じっとすわってじっくり見つめられるのが不自然なのです。
先日、安井曾太郎の画集を見てたら、安井曾太郎も同じ悩みを抱えていたようです。
昭和画壇を代表する巨匠安井曾太郎と同じ悩み。
安井曾太郎は肖像画の名手です。
その安井曾太郎が、友人を描くときに困ってしまう。
友人を描きたいと思ってすわってもらうと、いつもの彼でなくなる。
いつもの、談笑している時の彼を描きたいのに。
難しいもんなんですね。
今描いてるNさんも、じっとすわると、なんだか暗くなる。
談笑してる時の顔じゃなくなる。
陰のある女というか過去のある女というか、う〜ん、しかたないんでしょうな。