ナゾの人、というと大層ですが、ちょっとわからん人、ちょっとヘンな人。
去年、公園で夏祭りがあったんですが、そのとき、私につかつかと近づいて、にこにこと、「会長!」と呼びかけた人がいました。
知らない人です。
「会長、会長!」と気安くフレンドリーに呼びかけて、あれこれしゃべる。
60歳くらいの男性です。
「会長の娘さんもよく知ってます。お孫さんとも友達です」
にこやかにかろやかにしゃべる。
どうやら、隣の自治会の人らしい。
ゆうちゃん、あきらくんの近所の人らしい。
「会長、会長!」と今にも肩を抱かんばかりの勢いに、たじたじとなって聞いてました。
あとで、娘い聞いたら、「まあ、知ってる」とのことでした。
娘や、ゆうちゃん、あきらくんにもフレンドリーとのことでした。
今年のはじめ、そのひとが、ウチの自治会の防犯パトロールに現れたのには驚きました。
いっしょに回るんです。
やはり、「会長、会長!」と気安くフレンドリーに呼びかけてくれる。
どこの自治会も、防犯パトロールの参加者が減って困っている中、隣の自治会の防犯パトロールに参加するとは奇特なことというか、ヘンです。
それから毎週参加してくれる。
ナゾの人だなあと思ってました。
きのう、隣の自治会長だったAさんと会ったとき、ナゾの人のことを話したら、Aさんが笑い出した。
どんな人なんですか、と聞いたら、こんな人なんですと話してくれた。
このあたりでは、どこの自治会も、会長は班の回り持ちです。
隣の自治会で、ナゾの人の班から会長を出す年に、引き受け手がなくて、くじ引きということになった。
すると、そのナゾの人が、「なり手がないのなら、ボクがやりましょう」と名乗り出た。
それを聞いた班の人達は、喜ぶどころか大あわてにあわてて、急きょ水面下で話しあって、別の人が会長になった。
「そんな人なんです」とのことであった。
ナゾが解けたというより深まったという気もするのであるが、まあ、そんな人なんですね。