本箱にあった古い本を引っ張り出して読みました。
高校生のころ買った、エリック・アンブラーのスパ小説『恐怖の背景』です。
学生時代、推理小説なんかをよく読んでました。
たまった本を整理するとき、「おもしろかった!」という記憶のあるのは残しました。
で、あとになって読み返して、同じようにおもしろかった本はありません。
誰か忘れたけど、「推理小説は読み返すものじゃない」と言ってましたが、ほんとみたいです。
まだ何冊か「おもしろかった!」のが残ってます。
『恐怖の背景』は、まあまあかな。
1937年の作品ですから、まあまあなら立派なもんだと思います。
アマゾンで調べたら、イギリスやアメリカではまだまだ読まれてます。
80年前のスパイ小説がまだ読まれてるのはすごいんじゃないでしょうか。
この本は古本で買ってます。
最初に買った人のサインがあります。
万年筆で、「昭和32年2月27日」と書いてある。
表紙ははがれかけてます。
今は知りませんが、このころの早川ミステリシリーズは表紙がかっこいい。
この本もいい雰囲気です。
さっきテレビニュースを見てたら、日産のゴーンさんの拘留延長とのことです。
罪を認めなければ長期に拘留するという感じの日本のやり方が、海外で批判されてるようですが、『恐怖の背景』を読んでて、おっ!と思いました。
この本で、イギリス人の主人公がスパイ活動に巻き込まれて、ウイーンで殺人犯として指名手配されるんです。
自分が容疑者として新聞にでかでか出てるのを見て腹を立てる。
「ばかばかしい。私が容疑者だなんて!」
しかし、すぐに自分の立場に気付いて愕然とする。
「ここはイギリスじゃないんだ!自分で無罪を証明しなければ、私は容疑者ではなくて犯人なんだ!」
ゴーンさんも同じような気分でしょうか。
清教徒革命の本を読んでた時、イギリス人の法感覚はちがうなあと思いました。
当時、イングランドの人間は、貴族であれ農民であれ商人であれ、法律は自分を守ってくれると信じていたというんです。
私なんか、法律は私を罰するものという感覚なので、ちょっとびっくりしたんです。
ついでながら、小説や映画では、フランスの警察の取り調べもかなり恐ろしいと思ってたんですが、どうなんでしょうか。