若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

あの人は今・・・歌心

ヤマハエレキギターを習い始めたころ、クラスは高校3年生が一人、中学二年生が三人でした。

 

先生の指示で、一人ずつ簡単なメロディを弾いたことがあります。

中学二年生の一人が弾くのを聞いて、「お、いいな」と思いました。

なんかちがうんです。

先生が、「キミは歌心があるワ」と言ったのをおぼえてます。

彼も40歳ですが、おやじバンドでがんばってるかな。

 

きのう書いたエレキギターの地獄の狂獣A君は、歌心はなかったですねえ。

弾きまくるんだけど歌心なし。

ただひたすら絶叫してる感じでした。

いや、絶叫というとほめすぎか。

わめいてるといえばいいのか、う~ん、なんとも言えません。

 

毎週近鉄奈良駅改札横のベンチで、彼の話を、彼がタバコ二本吸う間聞かされた。

ある日、話し終わった彼が、「これ、聞いてください」とカセットテープを渡した。

どうせ「絶叫演奏」だろうと思って家に帰って聞いたら、クラシックギターの「アルハンブラの思いで」が聞こえてきました。

クラシックギターもやってると聞いてましたが、さすがにこっちは絶叫じゃなかった。

それには驚かなかったけど、演奏と共に彼の声が聞こえてきたのには驚きました。

「ボクが初めてエレキギターを弾いたのは高校二年の夏休みのことでした」

 

なんじゃこれは!

 

なんでそんなことを私に聞かせる!?

しかも、カセットテープで。

しかも、「アルハンブラの思いで」に乗せて。

そのうち、「ボクは鹿之助さんが好きなんです!」なんて言い出すんじゃないかとはらはらしました。

ホントに何かとんでもないことが吹き込まれてるんじゃないかと心配でした。

心配したくなるような雰囲気の子だったんですが、テープには特別な話は入ってなくてよかったよかった。

 

ボーカル科の地獄の狂獣B君も、歌心はなかった。

最初から最後まで怒鳴りまくる感じでした。

エアロスミスの曲をやったときも最初から絶叫なんで、「はじめは抑えた感じで歌ったら?」と言ったら、「大きなお世話です」と言われました。

 

まともな社会生活を送っているのであろうか?と思いましたが、大きなお世話ですね。

 

ヤマハの先生の話では、お母さんが、「ヤマハに休まず通って、発表会で歌ってるのがありがたいです」と言ってたそうです。

このお母さんですが、発表会には必ずきて、息子が歌うハードロックの曲を、息子と一緒に英語で歌うのでヤマハでは有名でした。

 

いつだったか、難波で彼と待ち合わせたことがあって、人混みの中で彼を見つけて近づいたら、私の顔を見てにこにこ笑って「おとうさん!」と言ったのでびっくりした。

たしかにヤマハでは彼の保護者的立場かもしれんが、面と向かって「おとうさん」と言われると焦りますよ。

 

焦ってると、彼の横に立っていた男性が、「Bの父です」と名乗って、「息子がいつもお世話になります」と言ったので、彼が「お父さん!」と言ったのは、「父です」という紹介のつもりだったのだとわかりました。

 

こうして思い出すと、当時の中学生が今や40歳、二十代、三十代の若者が五十代、六十代ですか。

当時四十代の私が七十代になったのより、そっちの方が不思議に思えます。