今日は美術予備校。
20号キャンバスのバッグを持って駅のホームに立ってたら、私よりちょっと年上と思える女性が近づいてきた。
バッグを指して、「写真が趣味なんですか?」と声をかけてきたので「え?」と思った。
20号というとだいたい60センチ✖70センチの大きさです。
写真にしたら大きすぎるんじゃないかと思ったんですが、その人は「作品を額に入れたらそれくらいになります」というんです。
公民館で習ってるとか、数年前までフィルムだったけど今はデジカメとか、こないだ琵琶湖に撮影に行ったとかいろいろ話ました。
奈良は人が多すぎてダメだそうです。
私が現役時代、得意先に写真が趣味の人がいました。
30年以上前だったと思いますが、毎月何万円か使ってると言ってました。
休みには必ずどこかに撮影に行く。
たくさん撮影してたくさん引き延ばしてたくさん現像して会社に持ってきて私に見せる。
いやになるほど見せられた。
休み明けにその人の会社に行くのが憂鬱になるくらいであった。
私の顔を見るとにこにこと袋を持ってきてどさりと写真を出す。
奈良の写真も多かった。
その人が撮影した奈良の写真を見るたびに入江泰吉さんはえらいと思った。
面と向かってそうは言えないから、「入江泰吉さんの奈良風景はいいですね」と言ったら、「あの頃は人が少なかったからね」と言った。
「あ、なるほどね」と言ったら満足そうに笑ってた。
私が特に意地悪というわけではなく、いろんな人がその人の風景写真を見るのを嫌がってました。
見るのを嫌がってたんじゃなくて、見せられるのを嫌がってた。
今日の女性は写真を見せたかったのであろうか。