若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ことばとがめ

安倍首相が「前広に検討したい」と言ったのにカチンと来ました。

「前広に」ってなんじゃ。

昔「ことばとがめはするものじゃない」と誰だったかえらい人が書いてるのを読んで以来ず~っと頭のすみにあります。

たまにカチンと来ることがあるのは仕方ない。

許せ安倍さん。

 

言いたいことが正確に伝わればいいし、正確じゃなくてもだいたいでいい時もあると思います。

自分をえらく見せようとしてヘンな言葉を使うのはイヤですが、誤字誤用は責める気がしない、などと言って我が身を守ろうとするのもイヤがられるかな。

 

業界言葉だと思うんですが三十年ほど前に見かけて以来いまだに解決しないのが「手鑑」です。

ある銀行の窓口、女子行員がすわってる目の前に大判の表札みたいな板が立てかけてあって、墨黒々と「手鑑の励行」と書いてあったんです。

窓口の女性に何と読むのか聞いたら「てよみのれいこう」だと教えてくれた。

「手鑑(てよみ)」というのは、お札を指でぱちぱち数えることだと言うんです。

なんとなく感じはわかる。

しかし「鑑」を「読む」と読めるのか。

調べたけどわかりませんでした。

大蔵省とか日銀で使う言葉でしょうか。

いや、大蔵省や日銀でお札をぱちぱちやるとは思えない。

これも「前広」といっしょで近松門左衛門かもしれない。

株式の用語は古い言葉が多いと聞いたことがあるから、銀行で近松井原西鶴でもおかしくない。

 

ついでに「レッテル」。

小学高学年のころ「ラベル」を集めるのが流行ったことがあります。

ビンや缶に張ってあるラベルを水につけてはがして集める。

その「ラベル」のことを私たちは「デッテル」と言ってたんです。

小学校にも上がらないちびっ子たちは「レッテル」と言ってた。

私は、ちびっ子たちは舌が回らないので正しく発音できなくて「デッテル」のことを「レッテル」というのだと思ってました。

ところが、ある日突然「レッテル」が正しいことを知ったんです。

これは衝撃でしたね。

ばかにしてたちびっ子たちが正しかった。

舌が回らないのはこっちだった。

ことばには用心しなければならない。

用心し続けて60年です。