10年通った美術予備校をやめました。
先生は、受験生が大学に合格してやめるのを「寿退所」と言ってました。
私は「コロナ退所」かな。
コロナ騒動で3か月休んでる間に私が通ってた教室が本校に統合されて少し遠くなってしまった。
10年通って、もういいかなという気持ちもあった。
で、やめました。
この予備校には石膏デッサンをしたくて通いだしたんです。
学生時代から好き勝手にヘンな絵を描いてたんですが40過ぎて人物画を描きたくなった。
好き勝手に人物画を描いてたんですが、仕事をやめてヒマができたので石膏デッサンでもやってみようと思ったんです。
2年ほど石膏デッサンをするうち、絵画修行の基本、模写をしたくなった。
素人の名画の模写のひどさはネットでいくらでも見ることができます。
しかし、石膏デッサンの指導ぶりから、この先生ならなんとかしてもらえるんじゃないかと思ったんです。
私の見る目は正しかった!と威張るようなことじゃないですが、先生の指導力は期待を上回るものでした。
私が最初に選んだのはフランス近代絵画の巨匠アングルの傑作『グランドオダリスク』。
玉砕覚悟でしたが、なんとか模写らしい模写になりました。
よっしゃ~!この先生にくらいついて模写じゃ~~~!
以後約10年模写一筋。
若かりし日にヘンな絵を描いて喜んでた私が、こわいもの知らずというか大胆不敵というか年寄りのあつかましさというか、西洋油絵の始祖と仰ぎ見られるヤン・ファン・アイクまで模写してしまうことになろうとは思いもよらぬことでありました。
カタイ話ムズカシイ話はぬきにして、ぶっちゃけた話、私が描いた数々のオリジナル油絵よりも先生の指導の下に描いた十数枚の模写のほうが値打ちがあると思います。
自分の絵は壁にかけててすぐ飽きますが模写には飽きません。
さすがでございます。
ひとこと言わせてもらえば、先生の指導力も立派なもんですが私の指導され力も立派なものなんですよ。
先生に、「若草さんは模写のときクセがでないのがえらいです」と言われたことがあるんです。
性格が素直だということだと思います。
思わぬ経験をさせていただき感謝です。