額縁屋のお兄ちゃんが注文してあった額縁を持ってきてくれました。
お兄ちゃんは、「もう少し落ち着いた金なら・・・」とちょっと残念そうであった。
絵を額に入れてじ~っと見ていたお兄ちゃんが、「若草さん、こんなこと言うたらナンですけど、ウデ上げはりましたね」と言ったのでカックンとなった。
ひとこと多いとは言わんけど、遅いです。
四、五年前に言ってくれててもいいんじゃないかと思うんですが。
まあ、お上手を言わないお兄ちゃんにしたら上出来かな。
この30年ほどの間に私が買った中で一番高い額です。
高いといっても先代の時から安さを売りにしてる店なので、この店にしたら高いということです。
二十年ほど前だったか、店でお兄ちゃんのお母ちゃんとしゃべってたら、お母ちゃんが、「そら世の中高い額もおまっせ。5万とか10万とか。ウチはそんな上等おいてまへんけどな」と言い放ったことがあります。
お父ちゃんもお母ちゃんもお兄ちゃんも、客は安い額を求めている!と信じて商売に励んでる。
いつだったか、お母ちゃんに「プレゼント用でっか?ご自宅用でっか?」と聞かれたことがある。
「プレゼント用です」
「あ、プレゼント用?そしてら高いのはいりまへんわな」
私はいつも「カネに糸目はつけん。絵が引き立つ額が欲しい」と言うんですが聞く耳持たず「え~っと、これよりお安いのがですね」と言う方向に行く。
困ったもんだというか安心というか、まあ安心かな。
で、この額、お値段はふせときますが高額です。
額のお値段はふせときますがつりひものお値段を公開しましょう。
額を買うとおまけとして吊り下げ用の金具とひもをつけてくれます。
今回、お兄ちゃんが「このひも、今までのとはちがうんです」と言いました。
「どうちがうの?」
「じょうぶなんです。ちょっとやそっとでは切れません」
「今までのは切れるの?」
「い、いや、そ、そ、そういうわけでは・・・今までのもじょうぶなんですけど、これはもっとじょうぶなんです。今までひもは1メートル50円で、これは1メートル200円なんです」
今までの4倍の値段のつりひもがついた額ということでその高額ぶりが想像できると思います。