小学6年生女子はなちゃんからメール。
「学校で句会がありました。
最初の五文字を思いつかなくて枕詞を使いました。
『あしひきの山桃色の花に染む』
桜が咲いたので山の一部が桃色になっているなあという句です。
次は夏の句会のために作った句です。
『遠花火砕け散るなり光の子』
スタジアムで花火をやっててそれを遠くから見た時のことを句にしました」
私の返信。
「枕詞は短歌で使うんだよ。
俳句で使うのはふとん言葉です。
はなちゃんの『遠花火』の句に刺激されておじいちゃんも一句。
『近花火やけどするなりドジな子』」
返信はありませんでした。
はなちゃんからメール。
クイズが書いてありました。
「おじいちゃんに言っときますが、正解でも賞金、賞品はありませんよ」
答えを書いて返信したら正解は一問だけでした。
で、「賞金も賞品もないのでやる気が出なくて何にも考えずに答えました。ちょっと考えたらあんなもん全問正解です」
はなちゃんから返信。
「孫にカネを催促するなんて困ったおじいちゃんやで」
はなちゃんから句会メール続報。
句会で、俳句大会で優秀賞を取った他人の句を提出した子がいたそうです。
はなちゃんの感想。
「度胸あるよね」
梅雨入りをテーマに作ったそうです。
「『梅雨入りの陽を見ないまま夏が来る』
梅雨入りしてから太陽も見なくなってこのまま夏になるのかなあという気持ちです」
私の返信。
「おじいちゃんも梅雨入りをテーマに作りました。
『五月雨を集めてはやし梅雨入りだ』
芭蕉の句にインスピレーションを得て作りました。こういう句は教養のある人にしか作れませんよ」
はなちゃんから返信。
「インスピレーションも教養も関係ない!単なるパクリだ!」
私の返信。
「パクリではない!はなちゃんは知らないだろうけど短歌に本歌取りという技法があるんだよ。古い有名な歌を取り入れる伝統的な技法をおじいちゃんは俳句でやってみたんだよ」
はなちゃんから返信。
「本歌取りくらい知ってるわ!
百人一首にもありますよ。
おじいちゃんは知ってますか。
殷譜門院大夫。
『みせばやな雄島の海人の袖だにも濡れにぞ濡れし色は変わらず』
元となった歌は
『松島や雄島の海人にあさりせしめ海人の袖こそかくはぬれしか』
これは源重之が・・・」
ま、まずい。
百人一首の話になるとはなちゃんはうるさい。
一年生の時に全部おぼえて「さきのだいそうじょう・・・」とか「作者は藤原さんが多いね」とか言ってた。
相手にせんとこ。