録画してあった西部劇を見ました。
はじめにお断りしておきますが「決斗」というほどのものはありません。
ハデな銃撃戦もない。
原題は「THESE THOUSANDS HILLS」(千の丘)です。
「千の丘」では客は入らないと思いますが「フォートブロックの決斗」はいくら何でも強引すぎます。
ほとんど「不当表示」「金返せ」レベルです。
映画が始まると男が二人馬に乗ってやってくる。
背景は雪を頂いた山なみで、大雪山系か立山連峰を思い浮かべると言いたいとこですがどっちも知らん。
とにかくかなりの標高だと思います。
で、辞書で調べたら「HILL」というのは標高600メートルまでのものというんですから、まあ山ですね。
この映画に出てくる地名が、ワイオミング、モンタナ、オレゴン。
地図で見たら西部劇というより北部劇ですよ。
よく舞台になるテキサスは西部というより南部でしょう。
「西部劇」という呼び方がおかしい。
まあニューヨーク、ワシントンから見ればアメリカは全部西部ですが。
さて馬に乗って現れたひとりが主人公なんですが、この若者は一見「脱サラしてカウボーイ志願」という感じでぜんぜん西部の男らしくない。
酒にも女にもおぼれずカネ!カネ!カネ!
父親が牧場主だったんですが破産した。
おやじみたいになりたくない!
牧場を持って地域の名士になって政治家になるというのが夢なんです。
ベッピンさんが夢の実現に力を貸してくれるんですが、彼女は清純な娼婦である。
あっという間に成功をおさめて教育委員会に入って上院議員に立候補する。
議員になるのにいくら清純でも娼婦を奥さんにできないから大恩あるベッピンさんを捨てて銀行家の姪と結婚する。
なぜ銀行家の姪なのか、娘では具合が悪いのかは説明なし。
どこまで行っても決斗がないのでハラハラしてたら最後の最後に主人公が敵役と酒場で殴り合いを始める。
スカッとしない殴り合いだなあと思ってたら監督もそう思ったようで二人は外に転がり出て泥んこ道で取っ組み合いをする。
せっかく転がり出たのに泥んこでフラフラの殴り合いなんでよけいスカッとしない。
泥んこフラフラの二人を町の人たちがじ~っと見物してる。
フラフラの敵役が銃を取って主人公を狙う。
そこに清純娼婦が現われて敵役を銃で撃ち殺す。
主人公は裁判で清純娼婦のため証言することを誓う。
なんのこっちゃ。
たぶん監督は正義とか倫理とか法とか愛とか勤勉とかいろいろ詰め込みたかったんだと思います。
異色の西部劇という感じですが、アメリカでは無数の西部劇が作られてるから、いろいろあるんだと思います。