「日本語の文法と英語の文法、どちらをよく知ってますか?」と聞かれたら、「どっちも知らん」と答える人がほとんどだと思います。
「どちらかというと英文法」という人が少数、「どちらかというと日本語」はもっと少ないのではなかろうか。
「古文の文法」となると全員「そんなもん知らん!」だと思います。
きのう家内に「古文の文法」について聞かれた。
「そんなもん知らん!」という言葉は知ったかぶり一筋数十年の私の辞書にはない。
何とか思い出した「未然形」と「連用形」という二つの言葉を頼りに何とかお茶を濁すというか煙に巻くというかその場をしのごうとしたけど家内はしつこくからんでくる。
これはダメだと私に見切りをつけた家内が「Aさんに聞こう!国語科の先生だったから」と電話をかけた。
Aさんは家内と高校時代がいっしょで大学は別だったけど新任教師として赴任した大阪の高校で偶然の再会、驚き喜んで以来今日までの付き合いです。
家内は三年でやめたけどAさんは定年まで勤め上げた。
Aさんが電話に出て家内が「古文の文法について聞きたいんだけど」と言ったとたんAさんの大きな声が聞こえた。
「聞いたらあかん!」
そばにいた私にも聞こえる絶叫!
みなまで言わさず!という気迫!
「いや、ちがうのよ、ちょっとね・・・」
「あかん!聞いたらあかん!何にも聞いたらだめ!」
「あかん!」「だめ!」の一点張り。
家内がよほどの無理難題、義理も人情もわきまえず無茶苦茶を言ってるように聞こえる。
家内は笑ってあきらめた。
「先生の後遺症」とでもいうんでしょうか。
「トラウマ」「心的外傷」とでもいうべきか。
Aさんが誠実な先生だったアカシかもしれない。
で、二人でよもやま話。
この二人のよもやま話に欠かせないというか必ず出るというか最後はこれに落ち着くというかこれが出ずには終わらないという話があります。
新卒の二人が進路指導部の先生として就職先開拓のため企業訪問に歩いた時のことです。
ある企業を訪問した時現れた担当者が二人を見てこう言った。
「いやあ!府立高校の進路指導の先生がこんなかわいいお嬢さんとは!」
Aさんと家内がおしゃべりするとシメはこれです。
どんな話をしていてもこれになる。
どちらがこの話を持ち出すというのじゃなくて水が高きから低きへ流れるように自然にこうなる。
きのうもちょっと険悪な雰囲気で始まったんですが最後はいつも通り「かわいいお嬢さん」の話になって和やかにめでたくお開きとなったのであった。
古文の文法がどこかへ行ってしまったのはいとおかし。