ケビン・フィリップス『1775』を読み終わりました。
著者は、「アメリカ独立戦争に関する常識を打ち破る」と宣言してますが私にはアメリカ独立戦争の常識がないので何を言われても驚かない。
「植民地の人々が一丸となって立ち上がって独立を勝ち取ったというのはウソだ。ごく少数の独立派とごく少数の王党派と、多数の、ようわからん、どっちでもええがなと言う人がいた」と言われても驚かない。
「徹底的に細部にこだわる」とも宣言してます。
たしかに細かいです。
「なんとか砦」の戦いではイギリス軍が500人植民地軍1200人とか。
で、今のところアメリカ独立戦争についてかなりくわしくなってます。
あと3日くらいはくわしいと思う。
1週間後には元通りになってると思う。
と言って読んだことが完全に消えるわけではない。
少しは残ると思いますがこれまでの経験からしてどうでもいいことが残る。
当時のアメリカの強みはタバコだったようです。
タバコさえあれば世界中で武器でもなんでもほしいものが買えた。
アメリカはタバコのおかげで独立できたといってもいいみたい。
当時のアメリカの東海岸は船乗りにとって非常に難しい海域だった。
浅瀬や岩場があちこちにあって海流も複雑で経験のある水先案内人が必要だった。
イギリス海軍は地元の水先案内人をつかまえて軍艦に乗せたがうまくいかなかった。
植民地軍が水先案内人に対して「イギリス軍に協力したら殺す」と警告していたからです。
イギリス海軍の軍艦の船首で水先案内人が「前方よし!」と叫ぶので進んだら浅瀬に乗り上げて動けなくなったり岩にぶつかって沈んだり大変だった。
著者によれば独立戦争の海戦で植民地軍が勝てたのは水先案内人のおかげだそうです。
バージニア総督のダンモア伯爵と言う人は無茶苦茶強欲な人だったそうです。
総督でいる間に稼げるだけ稼ごうという腹だった。
恥も外聞もなく情け容赦なく手段を選ばず私腹を肥やし続けた。
悪評を聞いた国王が「ええかげんにしなさい!」と言ったけど「ホントにねっ!」と言うだけで知らん顔だった。
ダンモアはイギリスの恥だ!とまで言われた。
植民地の人に言われたんじゃないですよ。
本国で言われたんだからホンモノです。
ワシントンはダンモアが奥さんを連れ去るのではないかと心配してた。
「いくら何でも女性を人質にとるような卑劣なことはしないと思うが」と書いた手紙が残ってる。
ジェファーソンは「あいつならやりかねん」と思ったようで奥さんを避難させてます。
ワシントンは「ダンモアは植民地の敵だ」と激しく非難してた。
しかし、植民地軍のある将軍は「ダンモアはアメリカ独立の恩人だ」と言ってるんです。
ダンモアのおかげで無関心派や独立反対派までイギリスと戦うようになったからだそうです。
むずかしいもんです。