テレビを見てたら、名古屋の中華蕎麦屋さんを取材してて、大阪から単身赴任と言うサラリーマンの客が出てた。
大阪から名古屋に単身赴任と言うとかつての取引先、某大企業の大阪支店の営業マンAさんを思い出す。
Aさんは明るい体育会系の営業マンと言う感じでした。
仕事で10年ほど付き合いがあって、40代半ばのころ名古屋支店への転勤が決まった。
「単身で大変ですね」と言ったら「いや、家内と娘が週末に来てくれるんです。家が京都なんで1時間もかかりませんから」と笑ってた。
奥さんと、当時大学生の娘さんが交代で週末に来て料理と洗濯をしてくれるという話だった。
1年後、私が名古屋支店を訪問した時Aさんに会った。
仕事の話がすむとAさんは手帳を取り出して私に見せた。
数字がずらずら書いてあった。
「これ、なんですか?」
「パチンコ、パチンコ!」
パチンコで勝った金額だった。
「名古屋はパチンコの本場ですからねえ!」
名古屋でパチンコに目覚めたようで延々とパチンコの話をした。
話を変えようと「奥さんと娘さんは・・・」と言ったら即座に厳しい顔で「1回も来ない!」。
お気の毒様、と思ったら「でも行きつけの飲み屋のママがよくしてくれるんで」とニコニコした。
「私のために魚を焼いてくれたりするんですよ」とうれしそうに言うのでちょっと心配になった。
1年後、大阪支店の営業マンBさんが「Aが静岡支店に転勤になりました」と言った。
「行きつけの飲み屋のママとおかしくなって・・・奥さんが会社に見えたりいろいろあって・・・」
静岡支店からまた別の支店に転勤になったAさんが定年を迎えて再雇用で大阪支店に戻ってくるという話を聞いた。
Aさんが戻てくるのかと思ってたら亡くなったと聞いてびっくりした。
大阪支店時代行きつけだった喫茶店で「また戻ってきますので」とあいさつしてて倒れたんだそうです。
その話を伝えてくれたBさんに「Aさんがパチンコファンだったの知ってました?」と聞いたら顔をしかめて「サラ金が会社に来て大変だったことがあるんですよ」と言った。
名古屋単身赴任がなかったら・・・。